2004-2005年末年始特集
「ね〜、いつもと違うところにいる気がする。」
聖の問い掛けに周囲を見渡す。
「そうだね。なんか違うね。」
初詣に出掛けたのに道に迷ったみたいだ。零にばれたら絶対に怒られる。だけど連絡しないと会えないかなぁ…。
「ボク、どうしたの?」
その時、聖に優しく微笑みかけてくれた青年が現れた。
「陸が道に迷っちゃったみたいなんですぅ…。」
おーい、僕のせいかい…まぁ、そうだけど。
「僕たち駅まで行くけど、一緒に行く?」
「すみません、いいですか?」
ホッ、零に連絡しなくて済む。
「温さん、早くしないと置いて行くよ。」
その青年には男性の連れがいた。もしかして…。
「大丈夫。謙一郎じゃないから置いていかれることは無いよ。」
アツシさん、と呼ばれた青年はコンパスが異常に長い。…羨ましい。
「あれ?君…テレビに出ている…うーん…。」
アツシさんは僕のことに気付いたらしい。
「ACTIVEの陸くんだよね?」
最初に声を掛けてくれたケンイチロウさんが答えた。
「はい。」
「芸能人がこんなところにいるなんて知らなかったよ。普段は車だから解りづらいのかもね。」
「ううん、陸はね、車の運転がおっそろしいから零くんから良いよって言われないと運転できないの。」
聖〜っ、さっきから余計なことばっかり〜。
「君たち、仲が良いんだね。」
「うん。」
聖はとっても嬉しそうだ。
「あっ、零くんだ。」
聖は腕が千切れそうなほど振っている。
「どうも、ありがとうございました。」
ゴーン…
「あっ、除夜の鐘だ。あけましておめでとうございます。」
「おめでとうございます。」
ん?
「謙一郎。まだ12時回ってない。」
「あっ、そうか。ボケちゃった。良いお年を。」
この人、なんか好き。
アツシさんがちらりと時計を見る。
「あと30秒。」
「いいよ、別に。」
「仲が良いですね。」
「はい。」
ケンイチロウさんは、満面の笑みで答えた。
おわり