2006-2007年末年始特集

カウントダウンライブ

12月31日。

 東京は二週間前まで暖冬になるとの予想だったが急に冷え込んで例年の寒さまでになっていた。
 場所は都内にある野原プロモーションが所有するライブホール「SEcanDs」。収容人数は千人程。
 今年はアットホームな感じにしたいとメンバーの意見で決まった。アクティブのカウントダウンライブのことだ。
 今年も年内の仕事は10日には終わりメンバーとスタッフは全てこの日に掛けてきた。


「でもどうして家が分かったんだろう?」
 謙一郎が首を傾げる。
 一年程前に道に迷っている少年と青年に会った。
 その時の青年が今から舞台上に現れるギタリストだ。
 手紙には「今年も一緒に除夜の鐘を聞きましょう」とあった。


「尚敬がJPOPSを聴く趣味があったのは知らなかった」
「チケットが届いたんだ、僕宛に。この間、ボーカルの零くんとラーメン屋で隣に座ったんだけどね、財布に金が入ってなかったんだ。僕は千円、貸し
てやった。その礼だって」
「それは又かなり間抜けな話だな」
 ふふっ、と尚敬は笑った。


「珍しいな、真人からアクティブのライブに誘ってくれるなんて。オレの趣味を覚えてくれたんだ」
 真人は一瞬戸惑った表情を見せたが直ぐににっこり微笑むと「当然」と胸を張った。


「今夜は僕たちアクティブのカウントダウンライブにお越しいただき有難う御座います。今夜お招きした皆さんは僕たちが日頃御世話になっている方で
まだライブに一度もお呼びしていなかった方を重点的にセレクトさせて頂きました。そして一番好きな人を同伴が条件でしたが皆さんちゃんと同伴者に
説明しましたか
?」
 いきなり曲から始まり、五曲をきっちり歌い切ったところでの挨拶。
「ではもう暫く僕たちの音楽をお楽しみ下さい」
 言うと又曲が始まった。
「同伴者の方と向き合って下さい、そしてちゃんと目を見て下さいね」
 歌の合間に零が言うと客席は何故か全員言われたとおりにしていた。
「3・2・1…ハッピーニューイヤー!」
 今年一番最初の時を一番大好きな人と過ごせる幸せ…
 貴方にも幸せが降り注ぎますように…

おわり