| 拓真は土曜日も休みだ。しかし僚摩は日曜日しか一日中家に居る時間がない。 
 
 
 拓真はデートしたいと思っているが、僚摩と布団の中でくちゅくちゅしているのも好きだ。
 
 
 
 僚摩は休みには家の中の事を片付けたいと思っているが、拓真と昼くらいまで惰眠を貪るのも好きだ。
 
 
 
 「何時?」
 「十一時十七分」
 「…細かいな…」
 「じゃあ十一時」
 「腹減った」
 「え…」
 …
 …
 「なんだよ?」
 「なんでもない」
 「言いたいことがあるなら言ってくれ」
 「なんでもないよ」
 …
 …
 「なら…」
 
 
 
 拓真は思った。
 日曜日の朝くらい、したっていいだろ?
 僚摩は思った。
 日曜日の朝は絶対にイヤだ。なら土曜日の夜だ。
 
 
 
 言い出せない拓真の負け。
 渋々布団から這いだしてブランチの準備を始める。
 僚摩は布団を上げて掃除を始める。
 これから出掛ける先は、色気のないスーパーマーケット。
 拓真は少し、料理が上手になった。
 僚摩は少しだけ、拓真の気持ちを考えるようになった。
 
 
 
 「今夜ならいーよ。ただし一回だけな。」
 
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