レベル7
第十三話  そして…夜
「話し合おう…って、俺が考えてただけで、今朝僚摩は将来の話をしていただけだ。」
 僚摩は頭を掻いた。
「そうだったっけか?でも僕もそんなことを考えていたよ、」
 僚摩は一度言葉を切り、拓真の表情を伺うような目をした。
「…毎朝さ、電車の中で考えているんだ、僕は何がしたくて院に行っているんだって。勿論、今まで知り得なかった過程や結果を知ることは楽しい。
しかし楽しいだけで何か他にあるのかな?その先を考えるなら今なら引き返せそうな気がする。」
「引き返すって?」
「辞めて就職しようかと…」
「就職なんかいつだって出来るじゃないか。なにもそんなに焦らなくたっていいだろう?別に腹を空かせて待っている乳飲み子が居るわけじゃないし、
分別のある紳士が黙って待ってるじゃないか。」
「なんだ?それ。」
「俺」
「はいはい」
 僚摩はなんだか気が楽になった。
「そうだよな。別に拓真が迷惑に感じていないなら、今のままで良いよな。」
「…迷惑ではないけど、不満はある。」
「そこは週一で譲歩してくれ」
「遠距離恋愛みたいだな。週二なら手を打つ。」
 僚摩は考えた。
 今まで通りの日曜の昼下がり…他は…
「そんなに考えないとないのかよ」
「ん〜、一時間くらいなら隙間は空くよ。だけど折角だからもっと長い時間を掛けて愛し合いたくないか?」
 拓真は危なく吹き出しそうになった。
 僚摩は本気だった。
「毎日、一時間あれば十分だよ」
 ボソッと呟く。
「・・・うん」
 僚摩も慌てて頷いた。