| 「話し合おう…って、俺が考えてただけで、今朝僚摩は将来の話をしていただけだ。」 僚摩は頭を掻いた。
 「そうだったっけか?でも僕もそんなことを考えていたよ、」
 僚摩は一度言葉を切り、拓真の表情を伺うような目をした。
 「…毎朝さ、電車の中で考えているんだ、僕は何がしたくて院に行っているんだって。勿論、今まで知り得なかった過程や結果を知ることは楽しい。
 しかし楽しいだけで何か他にあるのかな?その先を考えるなら今なら引き返せそうな気がする。」
 「引き返すって?」
 「辞めて就職しようかと…」
 「就職なんかいつだって出来るじゃないか。なにもそんなに焦らなくたっていいだろう?別に腹を空かせて待っている乳飲み子が居るわけじゃないし、
 分別のある紳士が黙って待ってるじゃないか。」
 「なんだ?それ。」
 「俺」
 「はいはい」
 僚摩はなんだか気が楽になった。
 「そうだよな。別に拓真が迷惑に感じていないなら、今のままで良いよな。」
 「…迷惑ではないけど、不満はある。」
 「そこは週一で譲歩してくれ」
 「遠距離恋愛みたいだな。週二なら手を打つ。」
 僚摩は考えた。
 今まで通りの日曜の昼下がり…他は…
 「そんなに考えないとないのかよ」
 「ん〜、一時間くらいなら隙間は空くよ。だけど折角だからもっと長い時間を掛けて愛し合いたくないか?」
 拓真は危なく吹き出しそうになった。
 僚摩は本気だった。
 「毎日、一時間あれば十分だよ」
 ボソッと呟く。
 「・・・うん」
 僚摩も慌てて頷いた。
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