「拓真」
僚摩が嬉々として部屋に飛び込んできた。
「バイトしなくても良くなった」
「何があったんだ?」
「教授が助手にしてくれたんだ」
「じょ…しゅ?」
拓真は嫌な予感がした。
「教授の部屋って資料やら書籍やら論文やらでシッチャカメッチャかなんだ。それを学校にいる間に片付ければいいんだよ。今までより全然時間が自由になる」
本当に嬉しそうに話す僚摩に、拓真は微笑み返すしかなかった。
その晩、久し振りに一緒の布団に入り、散々イチャイチャした後抱き合って眠りについた。
拓真にとっても夢のような時間だった。
しかし。
拓真の嫌な予感は的中した。
翌日から僚摩の帰り時間は以前にも増して遅くなったのだ。
凝り性の僚摩は途中で投げ出せないのでついつい切りのいいところまで頑張ってしまう。
そうすると教授が食事に誘ってくれる…の繰り返し。
晩御飯をつくる楽しみまで奪われてしまったのだ。
ただ…。
日曜日は体力が有り余っているので、朝から元気である。
それだけは拓真にとって嬉しい誤算である。
しかし五日間の不満はどのように解消したらいいのか、拓真には皆目見当がつかなかった。
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