レベル7
第十六話  諦めの境地
 水、木、金と僚摩は帰りが遅く、土曜日は午前中だけ出掛けていった。
 一体、僚摩が手伝っている教授の部屋はどんなことになっているのだろう?
 僚摩は文学部の日本語科だ。研究しているのは日本語について。
 日本語の成り立ちについては正確なことはまだまだわかっていない。
 文法が大陸とは根本的に違うので、何処かから入ってきた言葉ではないらしい。
 しかし文字に関しては中国の影響をもろに受けている。
 この辺のところを色々調べているらしい。
 日本最古の文献が日本書紀じゃ、それ以前は調べようが無い気がするのは素人の考えだろう。
「同じタイトルでも筆者が違うものがあるんだよ、例えば今は印刷されるから大量生産だけど昔は自力で写すだろ?そうすると時代だったり、地方
だったりで少しずつ違う表現があるんだ。それを一から仕分けしている。」
「つまり…読みながらってことか?」
「…ものによる…」
 ダメだな、しばらく。