| 日曜日の午後。 「携帯電話を買い換えようと思うんだけどさ、僚摩、一緒に見てくんない?」
 拓真にはささやかな野望があった。
 「いいけど。」
 僚摩はとくに興味がなさそうだ。
 「最新機種ってどんなのがあるんだろう」
 「なんだ、調べてないのか?」
 僚摩は寝室からノートパソコンを持ち出してくると、携帯電話の価格や口コミなどが書かれているサイトを立ち上げた。
 「スマホにしないか?僕も換えようかと考えていたんだ。」
 言いながら機能等の説明を始めた。
 「僚摩詳しいんだな。」
 「ちょっと、ね」
 意味深な言い方に不信感を抱く。
 「何、考えてる?」
 「・・・別に。」
 「嘘だ」
 「嘘じゃないって」
 バタッ
 拓真は僚摩をリビングの床に押し倒した。
 「白状しろよ」
 「エクセルとか使えるから、リスト作りに便利なんだよ。また学校のことだって、拓真怒るだろ?」
 「当たり前だ」
 反論しようとする僚摩の口を唇で塞ぐ。
 少しだけ抵抗を試みたが直ぐに諦めた。
 「拓真・・・GPS機能は付けっぱなしだと電池の消耗が激しいから普段ははすすぞ」
 「なにっ」
 拓真の野望は脆くも崩れた。
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