レベル7
第十七話  スマートフォン
 日曜日の午後。
「携帯電話を買い換えようと思うんだけどさ、僚摩、一緒に見てくんない?」
 拓真にはささやかな野望があった。
「いいけど。」
 僚摩はとくに興味がなさそうだ。
「最新機種ってどんなのがあるんだろう」
「なんだ、調べてないのか?」
 僚摩は寝室からノートパソコンを持ち出してくると、携帯電話の価格や口コミなどが書かれているサイトを立ち上げた。
「スマホにしないか?僕も換えようかと考えていたんだ。」
 言いながら機能等の説明を始めた。
「僚摩詳しいんだな。」
「ちょっと、ね」
 意味深な言い方に不信感を抱く。
「何、考えてる?」
「・・・別に。」
「嘘だ」
「嘘じゃないって」
 バタッ
 拓真は僚摩をリビングの床に押し倒した。
「白状しろよ」
「エクセルとか使えるから、リスト作りに便利なんだよ。また学校のことだって、拓真怒るだろ?」
「当たり前だ」
 反論しようとする僚摩の口を唇で塞ぐ。
 少しだけ抵抗を試みたが直ぐに諦めた。
「拓真・・・GPS機能は付けっぱなしだと電池の消耗が激しいから普段ははすすぞ」
「なにっ」
 拓真の野望は脆くも崩れた。