| 「僚摩、欲しい本があるんだけどさ、何のアプリを入れたら検索出来る?」 拓真は新しい作戦に出た。買い換えたばかりのお揃いのスマホの使い方を四六時中聞くのだ。
 最初のうちは丁寧に教えてくれたが遂にキレた。
 「自分で調べろ!僕は忙しい!」
 と、取扱い説明書を放り投げられた。
 「本だったらアマゾンでいいんじゃないか?」
 しかし僚摩は拓真に甘い、すぐにヒントを与えてしまう。
 拓真はリビングの雑誌入れに取扱い説明書を放り込んで再び作戦を遂行するのだ。
 
 
 
 しばらくして。
 拓真のスマホの電源がまったく入らなくなってしまった。
 僚摩はバイト中、頼ることは出来ない。会社帰りに自宅の最寄り駅で販売店をたずねた。
 「お預かりしてお調べさせていただければ早いのですが…」
 「いや、手元からなくなると不便なんだ。」
 「それでは代替機種を・・・」
 と言って持ってきたのは携帯電話だった。
 「申し訳ございませんが・・・」
 スマホの代替機種を切らしているといわれても、これでは僚摩に聞くという野望が達成できない。
 渋々家路に着くと、思わず代替機種をダイニングテーブルの上に置きっぱなしにしてそのまま寝てしまっていたのだ。
 「拓真、携帯と二台持ちにしたのか?それにしてもいつ充電するんだ?スマホだって夜充電して置いたら昼間楽だろう?半日も使ったら電池切れするしな。」
 なに?
 「半日で電池切れ?」
 案の定、販売店で言われたことは充電切れだった。
 拓真はのそのそと取扱い説明書を取り出し、読み出したのだった。
 
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