レベル7
第十九話  学校の先生
 金曜日の夜、バイトから戻った僚摩が珍しく寄ってきた…いつもはすぐに部屋に直行して風呂に入る。
「来月から附属小学校で教師をする事になった。」
 嬉々として話す。
「研究、院はどうするんだ?」
 拓真は疑問に思ったことは聞く・・・というか聞かないと僚摩は話さない。
「続けるよ?あ、バイトなんだ、教師。教授の蔵書は全然片付かないから夏休みに全員で一斉にやることにした。」
 僚摩のバイトを取り上げた代わりの仕事らしい。
「教職免許、持ってたんだ。」
 僚摩は拓真の顔をじっと見つめた。
「そうか、母校に実習へ行かなかったから気付かなかったか。取ったよ、免許。何かの役に立つかと思ってね。今回は産休の先生の代わりに教科担当なんだ。」
 小学校は全教科同じ教師ではないのか?と、疑問に感じたが国立の附属は違うのかもしれないと聞くのをためらった。
「週3日は同じで単価がいいんだ。」
 小学生のような多感な時期の子供相手にこんな割り切った人間で大丈夫なんだろうか?
 しかし、この経験が僚摩の考えを大きく変えるきっかけとなった。



 一ヵ月後。
「拓真、悪い!教授になりたい。だからまだまだ忙しいのが続く!」
 報われない拓真だった。
「しかし、なんで教授?」
「子供相手は僕には無理だ」
 ・・・やっぱり。