レベル7
第二十二話  箱根へgo!
 お盆休み。
 予定通り拓真も休みをとって予約を入れた温泉宿へ向かっている。
 新宿駅から小田急ロマンスカーに乗って行くのだ。
「なんだか修学旅行を思い出すな」
 小学校の修学旅行は、拓真と僚摩は同じ行動班だった。
「朝になってから替えのパンツが足りないと騒いでいたことか?」
「…嫌なことばかり覚えているんだな。」
 普段は隣同士でも一緒に登校する事は滅多に無かった。
「僚摩」
「ん?」
「なんで俺のこと避けてた?」
 僚摩は悩んだ。悩んだ末に出した答えは
「あとでな」
 だった。
「何だ?それ。」
 拓真は大いに不満を表したが、無視した。
「…あの頃、何がいけないのか、毎日悩んだんだぞ。」
 僚摩が慌てる顔を見たくて、ワザと話を続けた。
「悪い」
 しかし、僚摩はただ拓真に向かって謝っただけで答えはくれなかった。



「リコーダー、真剣に困っていたんだ。」
 僚摩は独り言のつもりだった、拓真が目を閉じていたから。
「何を?」
「なんだよ、起きていたのかよ?」
 真っ赤な顔で抵抗した。
「ずっと、拓真は鈴木さんが好きなんだって思っていた。それが僕の机に入っていたから、鈴木さんが僕を好きなんだと勘違いした。拓真が悲しむと
思ったら・・・起たなくなった。」
 拓真は再び、目を閉じた。
「そんな、可愛いことこんなところで告白するなよ・・・犯したくなるだろ?」