箱根から帰ってきたその日の晩、拓真は理性を失った。
「今夜こそはヤるからな!」
ある意味宣戦布告である。
「・・・夕べは僕のせいじゃないし…分かったから、とりあえず風呂に…」
僚摩の制止など聞いていなかった。
「もう、何ヶ月だと思ってるんだ!?」
「8ヶ月。」
さらりと僚摩が答える。
「…僕が拒んでいると言いたいのか?そんな気は毛頭ないが…」
そして、その後はなるようになったわけで…。
三時間後。
「あと一回!」
「無理、腰が立たない…」
布団から這い出るようにして浴室まで辿り着いた僚摩は、拓真に力なく手を振った。
「…もう、8ヶ月も待てないよ…」
「…バカ…ま、それは同じだけどな」
それを聞いた拓真は現金なもので、僚摩を抱えるようにしてピカピカに洗い上げると、布団に寝かしつけるところまでせっせとやり遂げた。
「今夜は一緒の布団に寝るからな…これからはずっと…」
「ん」
朝。
静かに玄関ドアが開いた。
二人はそれに全く気付かず、抱き合うように惰眠を貪っていた。 |