レベル7
第二十五話  危機レベルMAX
 朝。
 その日は拓真の夏休み最終日だった。
 夕べは8ヶ月振りの行為を二人とも大いに堪能し、昼過ぎから二回戦に突入するべく、しばしの休息タイムだった。
 八時過ぎ。
 玄関ドアの鍵が外から開けられた。


 ガゴンッ


 凄まじい音をたててドアがチェーンによって、開かれることを拒んだ。
と、ほぼ同時にチャイムがけたたましく鳴り響いた。
「拓真っ、いつまで寝てるの?いい加減起きなさい。っていうか、どうして夏休みなのに家に帰ってこないのよっ。」
 外で叫んでいるのは、拓真の母だった。


 二人は飛び起きた。
 そして慌てて下着とパジャマを身に着け、窓を全開にすると、僚摩は隣の部屋に避難した。
 僚摩だったら、両親が訪ねてきたらカミングアウトするつもりだが、拓真はまだ腹づもりが出来ていなかった。


 部屋着に着替えた僚摩は、涼しい顔をして拓真の母親の前に座っていた。
「すみません。僕の研究が忙しくて、拓真くんに家のことは何もかもお願いするような形になってしまったんです。お陰で今朝無事に論文も
書き上がり、提出するばかりとなりました。」
 僚摩は思い出していた。
 拓真の母親は、僚摩のことを快く思っていないことを。
 僚摩の言葉に返事もせず、拓真に向かって口を開いた。
「いつからなの?」