| 拓真は僚摩の両親に手紙を書いた。 
 大変ご無沙汰しております。
 お陰様で社会人として六年目を迎え、現在は三名の部下を従えて日々忙しくしています。
 
 
 僚摩は拓真の両親に手紙を書いた。
 
 拝啓
 その節はご心労をお掛けして申し訳ごさいませんでした。
 今春、助手として大学に就職が決まりました。
 
 「で?続きはどうする?」
 息子同士が恋愛関係になり、近所付き合いが難しくなったかと思いきや、互いの両親は相変わらず普通に挨拶をして、
 時候の言葉を交わし、会合では顔をつきあわせて共に活動している。
 とどのつまり、そんなに深刻に考えていない、ということだ・・・と二人は判断した。
 
 「この度、お手紙を差し上げたのは、拓真さんとの将来を真剣に考えて頂きたいからです。…こんな感じ?」
 「同じじゃ一緒に書いたのがバレるよな。」
 僚摩が学生生活にピリオドを打ち、薄給でもいいから生活費を稼げるようになるのをケジメとしてこの四年、共に暮らすことは我慢した。
 「ここに、四人を呼ぶ・・・で、他の相手は考えられないと直談判しよう。」
 「安直だな。」
 「じゃあどうしたらいい?」
 「…」
 答えは出ない。
 「考えていただきたい…は変だよな。二人が将来を共にすることをご承諾いただきたい、だな。」
 拓真からの返事はない。
 「分かったよ、安直だけど、ここに呼んで許しを請う。それでいいな?」
 「ああ。じゃあ、来週だな。」
 「了解」
 二人はそれぞれの手紙に、拓真が購入したマンションの住所を記し、土曜日の昼ごはんを共にすることを伝えた。
 
 決戦は、来週の土曜日。
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