金曜日の夜。
二人はそれぞれの自宅を出た。
行き先は勿論実家だ。
今回は別々に向かい、別々に到着した。
金曜日の夜は実家に泊まり、土曜日の朝、其々に拓真のマンションへと向かった。
「35年ローンで購入しました。ここで僚摩と一生、一緒に暮らして行きます。」
拓真がそう言って、二組の夫婦の前で土下座した。
「親不孝なのは重々承知です、でも…既に互いがいないと生きていく意味が見つけられないというか日々の暮らしでさえ、営んでいくのが
困難な状態なんです。」
今度は僚摩が土下座した。
「ダメなら勘当してください。」
二組の夫婦は顔を見合わせた…と思ったら爆笑したのだ。
「そんなこと、分かっている。だから冷却期間を取らせたんだ。恋愛においてそんなことをしたら益々深みに嵌ってしまうことくらい、百も承知だ。
それでも互いを思っているのなら、仕方がないじゃないか。」
僚摩と拓真は顔を上げた。
「人前で恥ずかしくなるくらいイチャイチャしたり、テレビなどで公表したりするのは控えてくれ、その…どんな顔をしたらいいか分からないからな。」
「はいっ」
二人は声を揃えて、小学生並の大きな声で返事をしていた。
その後は、僚摩の手料理で二組の両親をもてなし、夕方には其々の家に帰って行った。
…僚摩と拓真も、自宅へと帰って行った!? |