=デート前夜=
「横山…そこに立ってて。」
 武は何を思ったのか、徐ろに俺の腕をとると、洗面所兼脱衣所に連れてきた。
「ここなら恥ずかしくないから…その…」
 明日は休日、今夜は武の部屋で過ごし、明日はデート…と言ってもただの買い物。でも今回は
珍しく武から誘ってきたので、すっとんで来たのだが…。
「ストリップ見せて、又寸止めか?」
 いけない、こんなことを言ったら。だけどどうしてもあの日のことがトラウマになっている。
 小さく、首を左右に振ると
「…君のを…触らせて欲しい」
武が必死な顔で、しかし囁くように照れながら言う。
「ここで、したい・・・」
 そう言って唇を合わせた。
 もしかして、冗談で言った「お前からしてもいい」を間に受けたのか?
 武はセーターの下にTシャツを着ていた。それを脱いで下着一枚の姿になった。
 次にゆっくりとした動作で、俺の履いているジーンズのファスナーを下ろし、下着を一緒に下ろし
た。
「横山のは僕のと全然違う…」
 羞恥と好奇、両方の色が混ざった瞳で見詰めていた。ゆっくりと手を伸ばし、ちらと、指先が触れ
た。
するとはじかれたように、手を引いた。
「ごめん」
 俯いた表情は見えなかったが、耳が真っ赤になっていた。
 俺は武の下着を一気に下ろし、ピンク色の象徴に口づけた。
「こうして下から支えながら―」
 なんで俺はこんなこと教授しているんだ。
「やってみる」
 武が俺の前にひざまづいた。
 震える指先が俺の分身にそっと触れ、手が添えられた。
「イ…」
 イイ、凄く良くって・・・イキそう…なんで?
 武の唇がゆっくりと、近づいて、大きく開いて、飲み込まれていき、唇はすぼめられ、温かい舌
が根元に触れ…。
「うっ」
……………
 俺は武の髪を握り締めた。
 武の喉が音をたて『それ』を飲み下した。
「気持ち良かったんだ…なんか嬉しい」
 満足気な口元。俺は慌てて握り締めた掌を開いた。
「・・・かっこわる・・・」
 俺の精液で濡れた唇を唇で拭った。
「横山って僕が思っているより全然可愛いんだよな。」
 肩に顔を埋めながら、耳に直接囁かれた。―なんだよ、偉そうに…―でも何も言えない。
「お前もイカしてやる」
 自分だけ先にイッてしまって、流石に悔しかった。
「だめ、今夜は横山をいじめるんだ。泣くまでいじめて…」
 真っ赤に染まった目元。
「一緒に気持ち良くなろう」
 俺は武の昂ぶりと自分が今しがた射精したのにも関わらず偉そうにふん反り返るそれを一緒に
握り込んで腰を揺らした。
「あっ、あぁっ…どうしよう…もの凄く気持ちいい…あんっ…やだぁ…はぅっ…」
 武は絶えず鳴き続けた。
 先走りが溢れ、互いの砲身は濡れそぼり、滑りがよくなると武も腰をくねらせて快感を追い求め
ていた。
「あっ、ん…待って…よこや…ま…好きだ」
 え?
 思わず揺れていた腰が止まった。
「セックスしたい…だけど怖いんだ…君に…笑われる前に言うよ」
「俺が笑うことが嫌だったら言わなくてもいい。」
「駄目・・・これからの2人に大事なことだから・・・」
 ・・・・・・・・・・・
 耳に囁かれ、思わず笑ってしまった。
「だから・・・言った・・・の・・・にっ」
 俺が再び動き始めたために、感じ始めてしまった武の身体。
「大丈夫、俺が忘れられなくしてやるから・・・」
 誰にも触れられたことが無い身体・・・俺だけのものだ。
 今日のところはこれで十分、まだまだこれから開発してやる・・・楽しみが増えただけ。