04.相談事は秘めやかに
 ショックだ。
 真面目に告白した夜、城に無視された。
 軽く目眩を感じた。
「悠希、顔色悪いけど、平気か?」
 声をかけられ思わずその胸に縋った。
「ごめん、心くんに見られたらボコボコにされるな。」
 神宮寺くんの掌がオレの頭を優しく撫でる。
「心はそんなに狭量じゃない、特に仲間には尊大だ。」
 声音が笑みを含んでいる。
「否定しないんだ。」
「しない。心は悠希贔屓だから。」
「知らなかった。」
 オレの方から体を離した。
「ありがと。少し楽になったよ。」
「もう少ししたらその悠希贔屓から報告がくるはずだよ。」
 オレは真面目に驚いた。二人が何か話し合っていた気配はない。あるとしたら片づけをしていた時間だ。
「先に気付いたのは心だよ、二人が修羅場だってね。」
「確かにオレにとっては修羅場だな。」
「振られた…ってことはないよな?」
「どうして?」
「城くんは世界一の悠希ファンだから。」
 …ファン…
「なぁ、オレらどうして人気がイマイチなんだろ?」
「神様がくれた試練だよ。大丈夫、必ず運は上向く。」
 神宮寺くんの大丈夫は、何の根拠もないけど何故か安心する。
「明日の朝は普通にするってさ」
 え?
「城くん。」
 あ。
「ありがと。」
 今夜のところは安心して眠れそうだ。
「心くんは神宮寺くんに甘えてくる?」
「何だよ唐突に。…二人の時はな。でもご存知の通り二人きりってほぼないぞ。」
「部屋割り変える?」
「社長の許可でてないぞ。」
「そっか…」
「もう少し…悠希が余所見しないでフリに集中してくれたらファンも増えるよ。」
「なにそれ?」
「ファンは俺らがどんだけ頑張っているかを見ているんだそうだよ。だから一生懸命やっててもそれを悟ってもらわなきゃ
ダメなんだってさ。」
 そっか。
「それは、恋も同じだと思うよ。」
 そう言うと神宮寺くんは寝る支度を始めた。
 恋も、同じ?
 わかんねえ。