| ショックだ。 真面目に告白した夜、城に無視された。
 軽く目眩を感じた。
 「悠希、顔色悪いけど、平気か?」
 声をかけられ思わずその胸に縋った。
 「ごめん、心くんに見られたらボコボコにされるな。」
 神宮寺くんの掌がオレの頭を優しく撫でる。
 「心はそんなに狭量じゃない、特に仲間には尊大だ。」
 声音が笑みを含んでいる。
 「否定しないんだ。」
 「しない。心は悠希贔屓だから。」
 「知らなかった。」
 オレの方から体を離した。
 「ありがと。少し楽になったよ。」
 「もう少ししたらその悠希贔屓から報告がくるはずだよ。」
 オレは真面目に驚いた。二人が何か話し合っていた気配はない。あるとしたら片づけをしていた時間だ。
 「先に気付いたのは心だよ、二人が修羅場だってね。」
 「確かにオレにとっては修羅場だな。」
 「振られた…ってことはないよな?」
 「どうして?」
 「城くんは世界一の悠希ファンだから。」
 …ファン…
 「なぁ、オレらどうして人気がイマイチなんだろ?」
 「神様がくれた試練だよ。大丈夫、必ず運は上向く。」
 神宮寺くんの大丈夫は、何の根拠もないけど何故か安心する。
 「明日の朝は普通にするってさ」
 え?
 「城くん。」
 あ。
 「ありがと。」
 今夜のところは安心して眠れそうだ。
 「心くんは神宮寺くんに甘えてくる?」
 「何だよ唐突に。…二人の時はな。でもご存知の通り二人きりってほぼないぞ。」
 「部屋割り変える?」
 「社長の許可でてないぞ。」
 「そっか…」
 「もう少し…悠希が余所見しないでフリに集中してくれたらファンも増えるよ。」
 「なにそれ?」
 「ファンは俺らがどんだけ頑張っているかを見ているんだそうだよ。だから一生懸命やっててもそれを悟ってもらわなきゃ
 ダメなんだってさ。」
 そっか。
 「それは、恋も同じだと思うよ。」
 そう言うと神宮寺くんは寝る支度を始めた。
 恋も、同じ?
 わかんねえ。
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