| 「おはよう」 「おはようー!」
 朝起きたら城が部屋から出てきた。元気一杯だ。
 「城。」
 「ん?」
 「今日も好きだよ」
 城の動きが止まった。と思ったらゆっくりとこちらに顔を向けた。
 「もう、やめたのかと思った。」
 そのはにかんだ顔が妙に可愛い。
 「毎日聞かせるのは戦略的に不利かと気付いたんだ。」
 すると今度はちょっと怒った顔をする。これはこれで可愛い。
 「…毎日口説いてくれるって言った…別にいいけど。」
 「毎日口説かれたいの?」
 今度は吃驚顔だ。
 「だから、別にいらないよ!」
 真っ赤な顔で否定する。
 腰に腕を回して引き寄せ、耳元に囁く。
 「キミ、凄く可愛いね。オレと付き合わない?」
 両腕を突っ張って身体を引き剥がそうとするけど、力ではオレの方が上手だから逃れることが出来ない。
 「大好きだよ。」
 「あー、桧川くんセクハラ〜!」
 心が、洗面所から出てきた、タイムアップだ。
 「又明日ね。」
 胸の中に抱き込んだ頭が縦に動いた。
 腕から解放された少年の瞳が揺れている。
 「早く学校に行っておいで。」
 「あ、忘れてた。」
 慌てて洗面所へ駆け込む。
 今日も午後から仕事がある。城も心も午前中だけ高校へ行く。
 「な?脈ありだろ?」
 神宮寺くんがからかいに来た。
 |