| 取材が終わった後、僕は慧君にそっと囁いてみた。 「先に帰ったらダメ?」
 慧君は瞳でOKを示した。
 さて、どうやって二人を巻くのだろう?と、思っていたらシンプルにメールを打った。
 「帰るぞ」
 「うん」
 そう言うと電車に乗ってさっさと家に帰った。
 部屋に辿り着いた途端、抱き締められる。
 「悠希、凄いなって感心する。」
 「なんで?」
 「毎日会っているのに何もしない。」
 「それは…」
 まだ何もしたことがないから。
 余りにも城君が奥手で、何も知らないから。
 「慧君は我慢しなかったよね?」
 頭上からクスリと笑う気配がした。
 「中学生を犯しました。」
 僕に反論の余地を与えないように素早くキスを落とす。
 犯されたんじゃない、同意だから。
 「さーとしくん、早くしないと帰ってくる。」
 「風呂、一緒に入らないか?」
 「いいね。」
 部屋へ着替えを取りに行くと転がるように二人でバスルームへ入る。
 一糸纏わぬ姿で抱き合い、キスを交わす。
 互いに腰を揺らしながら欲望を高ぶらせていく。
 「んっ」
 「はぁ…っ…しんっ」
 「さとし…くん」
 
 
 「ただいま〜」
 「おかえりーねーねー城君っ」
 「なに?」
 僕は戻ってきた城君を捕まえて顛末を聞き出す。
 「別に〜ただ映画館で映画観てきた。ラブストーリーで凄く良かったよ。」
 「手、繋いだ?」
 「ええー!ムリムリ」
 そう言うけど笑顔は本当に嬉しそうだよ?
 城君が桧川君と手を繋ぐまでに、僕は何回慧君と身体を繋ぐんだろう。
 二人には悟られないようにこの部屋で愛を深めるのがなんともスリリングで止められない。
 慧君は僕の我が儘をいつでも聞いてくれるから。
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