18.もぞもぞ、ごそごそ
「悠希ぃ」
 語尾が少しだけ伸びる、きっと城なりに甘えているつもりなんだろう。
 もっとはっきり甘えてくれるような関係にになれたら嬉しい…心くんのように。
「もしもし?」
 城が不安そうな目でオレを見ている。
「大丈夫?ひとりでニヤニヤしてるけど。」
 そうか、城にはオレがニヤニヤしているように見えるんだな。
 右手を伸ばして城の肩を引き寄せる。そのままその身体を抱き締めた。
「ちょっ、何?どうしたの?」
 肩口に顔を埋める、城が気に入って使っているシャンプーの香りを胸一杯に吸い込む。
「大好きだよ。」
 すぅっと、息を吸い込む音がする。
「ボクも、好き。悠希ぃ…」
 やっぱり語尾が伸びる。
「この間、神宮寺くんと心くんが先に帰っていた日、ヤってたよな。」
 突然、城の身体が離れた。
「ごめん、分からない、ううん、無理だよ、ムリなんだ、ごめん。」
 慌てて腕を取り、もう一度抱き寄せる。
「何がムリなの?」
 腕の中でゴソゴソと動く。まるで小動物のようだ。
「ムリだよね、その…悠希、大きいもん。」
 …
 …
 !
「違うって、いや、違わないけど今は違うんだ。」
「…やっぱり違わないんだ…はぁ。」
 はぁ?溜め息?なんでだ?
「お通じはいつも良いから便秘したことがないからわからないし。」
 は?
「その…入らない、きっと。」
 あ、えっと…
「ごめん…それはオレも経験無いから分からないんだ。二人で色々覚えていかないか?」
「本当に?悠希も…なの?」
 あ、語尾がのびなかった。
 城の腰を引き寄せて抱き締める。
「だって、城が初恋だから。」
「なんだ、同じだったんだ。」
 えへへ、と笑う声が幸せそうな響きでなんだか胸が疼く。
「いつかは、って思うけどさ、今はオレが無理。」
 気持ちと知識はあるけど技術がない。そんな所だ…けど、それは秘密。