34.キラキラの素
「ねぇ、聞いた?」
 城君が嬉々として話す。
「紅白に出るには武道館2日間満員のライブなんだって。」
「どこ情報?」
「Yahoo!」
「はぁ〜ん」
「何?心ってば驚かないわけ?」
 あ、城君怒ってる、僕のこと呼び捨てだ。
「だって今の時代武道館でライブって古いよ?ドームツアーとか競技場ツアーとかじゃないかな?」
 すると明らかに分かる意気消沈気味。
「そーかぁー。ACTIVEと共演のチャンスなのになぁ。」
「ACTIVEとは歌番組で一緒になるのに?」
「うーん、でもさぁ、紅白って特別なんだよね。日本人なら必ず一度は見ているでしょ?」
 確かに言われてみればそうかもしれない。
「じゃあ、今年は頑張ろうね。まずは僕らの人気を何とかしないと。」
「そうだった。神宮寺君と悠希におんぶにだっこじゃあね。」
 そうそう、その意気。
 daysは城君が元気一杯だから輝けるんだよ。
 …とは、本人には言わない。言うと
「じゃあ心君の立ち位置は?」
って聞かれるから。
 僕の立ち位置なんてどうでもいい、神宮寺君と常に一緒に居たいだけだから。
「それ、ダメだと思う。」
 え?
「僕は関係ないって顔してる。」
 バレてる。
「心君はなんでアイドル目指したの?」
「カッコいい人が多いから…」
「多いから?」
「僕…昔から男にしか興味ないんだ。ここなら理想の人に会えるかと思って。出会っちゃったから他はどう
でもよくなっちゃった。」
「ボクにはファンの前では笑えとか言うのに?」
 うん…とは言えずに首を縦に振った。
「あのさ、daysが人気出ないと悠希とは一緒に居られなくなると思うんだ。そうなると心君も神宮寺君とは
離れなければならないと思う。ボクたちがキラキラに輝かないと神宮寺君も悠希も輝かない。理由は解ら
ないけどそう思う。」
 最近、城君は変わった。
「うん、そうだ。ごめん。」
 やっぱりdaysのキーパーソンは城君だ。