カメラに向かってポーズを作る神宮寺君はカッコいい。
手足が長いし顔が小さい。男のオレが見惚れるんだから間違いない。
「ん〜」
そんなオレの横で唸っている城。
「どうした?」
「桧川君は写真写りが悪い。」
は?
「神宮寺君は冷たい感じの美人だから笑わなくてもいいんだ。だけど桧川君は温かいタイプの美人だから
笑顔が大事なんだよ。」
あったかいたいぷ?なんだそれ?
「帰ったら、教えてあげる。」
それっきりブイッと横を向いてしまった。
なんだろ?
でも、好きなポーズって言われたので、城が言った通り笑ってみた。
カメラの後ろでオレの撮影をじっと見ていた城の可愛い笑顔を胸に思い描いて。
「…あんな顔、しなくてもいいじゃん。」
若干ご機嫌斜めの城。
「本当に、今日の桧川君、すごく素敵な笑顔で写っていたよね。またファンが増えちゃうよ、きっと。」
その瞬間、城が泣きそうな顔になったのを見逃さなかった。
そうか。
城はオレが神宮寺君よりカッコよくグラビア写真に写るように助言してくれたんだ。だけどそれは城の本意で
はない。でも心君に負けたくない、そんなところか。可愛いな、やっぱり。
ソファから立ち上がると城の手をとり廊下へと移動した。
そして、そこで城の身体をふんわり抱きしめる。
「ありがとう。だけどね、忘れないで。先に告白したのはオレの方だよ?城が大好きだからさ、心変わりなんかしな
いから。そんな可愛いことしないでよ。」
耳元で囁く。
胸の中で小さく首を縦方向に動かす城が、可愛くて仕方ない。
「ごめんね、毎日愛の言葉を囁くって言ったのに。」
「ちがっ…毎日口説いてくれるって…」
ちゃんと覚えていたか。
「城君」
途端に身体をピクリと反応させる…やっぱり可愛い。
「その可愛らしい唇、食べちゃいたいな。」
「…いいよ、食べちゃっても。」
ダメだ、オレはきっと、城に振り回される星の下に生まれたんだ…。
いいけど。 |