43.休日の過ごし方
「え?」
「いいの?」
「本当に?」
「ありがとうございます!」
 不意に訪れた休日に、四人の頭の中はいかにして恋人と過ごすかを考えていた。


悠希と城の場合
「…悠希ぃ、もう少しジャンケン強くなろうよ?」
 前から悠希のジャンケンが弱いことを知っている慧は、いきなり勝負を仕掛けてあっさりと勝ち、
1日マンションの部屋を占領する権利を勝ち取った。
「そう言う城だって、心君に言い負かされていたじゃないか。」
「うっ…」
 慧君が卑怯な手で部屋を占領したのに対して城は心君にクレームをつけたが、こちらもあっさり
と反論されて玉砕したのだった。
「どうしようか?」
「提案なんだけどさ…」


 悠希の提案で、都心から少し離れた日帰りの温泉施設、しかも貸切で個室もあるという便利な
場所へやって来た二人。
 以前二人で温泉へは行ったことがあるので慣れてはいるがまだまだ初な二人、相変わらず緊張
気味。
 更衣室でも見るなとか見たなとか小学生のプールの授業のような状態。
「でもさ、」
 悠希は意を決して口にした。
「オレは、城の裸をじっくり眺めたいんだけど。」
 言った途端に顔を朱に染める。
 そしてそれを聞いた方も俯いたが、少し間を置いて
「ボクも、見たい。」
と、本音を漏らす。
 せーので、下着を下ろす。
「すごっ…」
 …何が凄かったのかは…言うに及ばす。
「城…綺麗だね。」
 男に対して言う台詞じゃないのは分かっていたのに、言わずにはいられなかった悠希の心理。
「…よく言われる。」
「誰に?誰に見せたの?」
 突然悠希が城の肩をつかんで揺さぶる。
「何?どうしたの?いつも撮影で…んっ!」
 荒々しく唇を塞がれる。
「ん…んふっ…んんっ」
 素っ裸の状態でディープなキスをされれば、当然城の方も「凄い」様相になるわけで。
 悠希は唇を離すと今度は力一杯抱きしめた。
「ゆ…き、苦し…」
 城の腕は悠希の後方であてもなくさまよっていたが、ゆっくりとその背中に回された。
「嬉しいよ、城。こんなに…」
「やだ、悠希のえっちっ!」
 慌てて城は身体を離した。
「温泉、入るよ!」
 ずかずかと湯船へと向かった。


「ゆう…き、や…ん…」
 湯船の中でも悠希は城の身体を抱き寄せ、何度もキスを降らせた。
「頬を上気させた可愛い恋人を、どうして横で見てなきゃいけないの?城はオレにこんなこ
とされたくない?」
 城は直ぐに首を左右に振った。
「したい、けどさ、お湯が汚れちゃうよ…」
「汚れるようなこと、してもいい?」
 言うと浴槽の縁に城を座らせ、天を衝く勢いのモノを口に含んだ。
「え?や…ダメぇ」
 しかしそれ以降は抵抗せずにひたすら喘いでしまった。
「あは…んっ!」
 腰がびくびくっと揺れた。
「ごちそうさまでした。」
 口元を拭いながら、悠希が立ち上がる。
 肩で息をしていた城が、悠希を見つめる。
「…悠希も…」
「いいよ、大丈夫。」
「ここに座る!」
「はい。」
 それからあとは…秘密。



慧と心の場合
「心。ここ。」
 慧はソファに腰かけ、掌でポンポンと叩いたのは自分の膝。心にここへ座れと言っているのだ。
「うん」
 頷きながらも心は隣に座る。
「なんで?」
「なんか…柄じゃないし。」
「違う違う、別に可愛いことするわけじゃない。二人が帰ってきたらすぐに分かるくらいエロいことし
ようかと思ってさ。」
 ならいいか、と思うあたり心も既に上級者だ。
 すっくと立ち上がると慧の方を向いて膝を跨ぐ姿勢で座る。
「愛してるよ。」
「僕も、大好き。」
 言い交わすとどちらからともなく唇を合わせる。段々それも深くなり、息遣いも荒くなる。
「んっ…んっ…」
 ちゅぱちゅぱという水音が室内に響き渡り、心はちょっと冷静になって確かにエロいな…と考える。
 口の端から唾液が滴り落ち、首筋を伝ってTシャツを濡らす。そのTシャツの裾を手繰って慧は手を
突っ込んだ。
 徐々に弄りながら目当てのものを探し当てると、まず形を確かめた。
 ぷっくりと立ち上がったそれは固く尖っていた。
 指の腹でそれをつぶすと、心のお尻が一瞬浮いた。
 今度はゆるゆるとその周りに円を描くように指の腹を巡らせる。
 時々そっと中心に触れる。
 心の腰が揺れ始めた。
 それでも唇は重なったままだ。
 慧の舌が心の舌を蹂躙する。
「く…うぅんっ」
 心の喉が鳴る。
 掌で慧の身体を押しやる。
「息…出来ない」
 はぁはぁと息を継ぐ。
 そんな心を、慧はひょいとお姫様抱っこしてベッドへ誘った。


「はっ、あっ…んっ」
 心は身体を仰け反らす。
「逃げないで。」
 慧はそれを引き戻す。
「ダメ…もう…死んじゃう…」
 シーツも毛布もベタベタになってしまった。
 もう何時間もこうやって抱き合っている。
「心は寝ていていいから。」
 最後の一撃で心は気を失ってしまった。
 急いでバスルームへ連れて行く。
 洗濯をして、最後の仕上げに消臭剤を撒いておかないと流石にああ言ったものの、心が不憫に感じ
られた。
「これでしばらく生きていけそう。」
 慧がポツリとつぶやいた。