城は多分天然だ。
だから当然本人は気付いていない。
例えば夕飯当番では卵を割って中身をゴミ箱に捨てて殻をフライパンに放り込んでたり、風呂掃除の時は
シャワーの水を頭から必ず被る。
買い物に行けばまんまとファンの女の子に捕まる。
不器用なのかもしれない。
でも、そんな城だから好きなんだよな。
「おはよ、城君。」
目覚めて一番に愛しい人の顔が見られたら、それだけで上機嫌だ。
「はよ。散歩?」
「うん」
「じゃあ、おれも行く。待ってて。」
…
…
…
「あの、城くん…今なんて?」
「だから、おれも行くって。」
「おれ?」
「変?」
「変、へん!城くんがおれだなんて似合わない。少女漫画の王子様みたいななりして、そんな可愛い声で
おれって言われても…別な意味でドキドキしちゃうよ。」
「え?」
天然だ、本当に天然だ。
「変な気起こしちゃうよ。」
そう言って抱き寄せた。
「変な気って、こういうの?」
胸に顔を埋めると、小さく「ふふ」っと笑う。
もうもうもうもうっ、散歩どころじゃないし。
だけど神宮寺君と心君居るし。
生殺しだし。
…って何する気なんだ、オレ。
「悠希?」
不思議そうにオレを見つめる瞳がウルウルしててやっぱり可愛い。
「目、つぶって?」
「うん。」
素直に目を閉じる。
オレはその閉じられた瞼にキスを落とした。
おはよう、オレの悪魔のような天使。 |