46.無視できないじゃないか
「この人、何がしたいんだろう?」
 心がテレビから流れているニュース番組に耳を傾けながら疑問に思ったことを口にした。
「簡単に言えば日本の憲法を無理矢理変えて戦争に荷担することが出来るようにしたいって
ことだろう?」
「そういうことなの?自衛隊って言ってるけど?」
 確かにアナウンサーが告げているのは自衛隊のことだ。
「今決めようとしていることが決定事項となったら、今度は不公平感が生まれる。そうなるとい
ずれどこかで平等にとなって徴兵制が導入されるんじゃないかって言われている。」
「そうなの?」
「解らない。今決めようとしていることは今のままでは他の国を助けられないから助けられる
ようにしようと言うことらしいけどさ。それが違う方向に行ってしまうと日本が昔たどった道をもう
一度歩むことになり兼ねないと言われているんだよ。」
 ふーんと、あまり納得していないように頷いた。
「あ、だけどさ。」
「ん?」
「もしもだよ?もしも慧が徴兵されたら僕も志願する。そうしないと僕たち離れ離れになっちゃう
よ。」
 心が可愛らしいことを言う。
「配属先違うかもよ?」
「困るよ。僕には慧くんを守らなきゃいけない義務があるんだから。」
「心?」
「絶対、ファンの子たちに恨まれるからさ。」
 そう言いながらも目は真剣だ。
「そうだね、心が近くにいないと守ってあげられない…」
「ち、違うよ、守るのは僕のほうで…」
 あまりにも可愛いことを言うから、その口を自ら塞いだ。
 心の握り拳がトントンと俺の背中を叩く。
「そんなことにはならないから大丈夫だよ。」
「本当に?」
「ああ。」
 抱き締める腕に力がこもる。
 本当にそんな世の中が来たら困る。
 そう考えながらも身体は違う動きをしていた。
 ソファに心の身体を押し倒し、その唇をいつまでも貪る。
「ちょっ、慧君、桧川君と城君もいるのにっ」
 そうだった、二人はキッチンで夕飯の支度をしている最中だ。
 見付かったらそれこそただでは済まされないな。
 仕方なく心の身体から離れる…名残惜しい。


 日本の政治家さん、なんとしてでも現状維持でお願いします。







※この話はTwitterで流れてきた意見になんか違うなと思ったので書いてみました。