47.アイスクリーム
 ゴールデンウイークが明けて直ぐのことだった。
 学校からの帰り道、コンビニのドアに貼られていたポスターに目を奪われた。
 …なんて甘美な響き…
 アイスクリームの日
 ボクの心を鷲掴みにした甘く冷たい菓子。
 しかし。
 次の瞬間マネージャーが言うであろう言葉も過ぎった。
「太ったらメンバー入れ替えるから」
 韓流のアイドルみたいなことするんだなぁと聞いていたけど、直面すると切実な問題だ。
 アイスクリームをとるか、我慢するか…。
「城くん?どうしたの?」
 不意に、背後から掛けられた声。
 ドキドキしながら振り返ると、心君が不思議そうな顔をして立っていた。
「あれ」
 ポスターを指さす。
「ああ、確か初めて日本で食べられた日…だったかなぁ?」
「食べたい。」
「じゃあ、デザートに買って帰ろうか?」
「でも太らないかな?」
「太ったら明日の朝走ればいいじゃない」
「うっ…」
 朝の散歩は良いけど、走るのかぁ。
「どうする?」
「買うっ、食べる。」
 二人でいそいそと店内へ入っていった。


「ただいま〜」
 ボク等の後に帰って来た神宮寺君と悠希。
「アイス買って来た」
 …ポスターにやられた人々がここにもいた。