| ゴールデンウイークが明けて直ぐのことだった。 学校からの帰り道、コンビニのドアに貼られていたポスターに目を奪われた。
 …なんて甘美な響き…
 アイスクリームの日
 ボクの心を鷲掴みにした甘く冷たい菓子。
 しかし。
 次の瞬間マネージャーが言うであろう言葉も過ぎった。
 「太ったらメンバー入れ替えるから」
 韓流のアイドルみたいなことするんだなぁと聞いていたけど、直面すると切実な問題だ。
 アイスクリームをとるか、我慢するか…。
 「城くん?どうしたの?」
 不意に、背後から掛けられた声。
 ドキドキしながら振り返ると、心君が不思議そうな顔をして立っていた。
 「あれ」
 ポスターを指さす。
 「ああ、確か初めて日本で食べられた日…だったかなぁ?」
 「食べたい。」
 「じゃあ、デザートに買って帰ろうか?」
 「でも太らないかな?」
 「太ったら明日の朝走ればいいじゃない」
 「うっ…」
 朝の散歩は良いけど、走るのかぁ。
 「どうする?」
 「買うっ、食べる。」
 二人でいそいそと店内へ入っていった。
 
 
 「ただいま〜」
 ボク等の後に帰って来た神宮寺君と悠希。
 「アイス買って来た」
 …ポスターにやられた人々がここにもいた。
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