49.ツノルオモイ
「はぁ…」
「はぁ…」
 ほぼ同時に二人から漏れたため息。
「悠希は…まだなんだっけ?」
 オレは神宮寺くんの顔を見た。
「その…城…くんとの性交渉。」
 …げっ!ストレートパンチ。
「神宮寺くん、男女の恋愛だったら当然のことかもしれないけどさ、その…子孫を残すための行為だから。
だけど男同士の場合、精神的なものじゃ、だめなのかな?」
「ダメじゃない、だけど辛くないか?」
「毎日会えれば辛くない。会えないと辛い。」
 神宮寺くんはもう一度切なげにため息をついた。
「俺は…心とはズブズブの関係になってるからさ、最低でも週一はないと辛い。」
 ズブズブ?神宮寺くんが理解不能な言葉を発する。
「だから!心とは最初から身体の関係があるの!」
「え?最初から?」
 飛び上がらんばかりの衝撃だった。だって半年とかって聞いていたから。
「あ、その、だから、ね?心くん、痛がらなかった?」
 動揺のあまりオレはかなり直接的なことを聞いてしまったと後悔した。
「暴れたし泣いたけど無理矢理ヤッた。でないとこっちが泣く羽目になるからな。」
 そうなんだ。神宮寺くんはしないとダメなんだ…。
「オレは…散々待ったからさ、待つのは平気だし、何よりイヤがったり泣いたりするのを無理矢理とかはオレ
が無理。」
 神宮寺くんの腕がオレの頭を抱き寄せた。
「だよな、悠希は城くんが好きで好きで仕方なかったもんな。」
 ん?また聞き捨てならない発言だな?
「なに?」
「そんな、端から見て分かり易くなんてしてない。」
 結局拗ねただけ。
「でも、目がハートだったよ?」
 好きだった、確かにずっと好きだった。だけど…。
「神宮寺くん。単語覚えるよ。大学行かなきゃ。」
「そうだった。」
 とりあえず…勉強三昧の日々。