58.ダメの理由
「んー」
 あ、心君悩んでる。
 でもボクだって悩んでるんだよー。
「多分…ウソっぽく聞こえるんじゃないかな?なんとなく僕もそれには納得が行くから。」
 そこで、ボクは心君にぎゅーと抱きついた。
「じょ、城君!」
 案の定慌てている。
「心君、愛してる!」
 腕を解くと心君に向かってニッコリ笑いかける。
「これか!」
「それだ!」
 二人でニヤニヤしてしまった。
「言いすぎかぁ。」
「城君、それは違う。」
「じゃあ、どれ?」
「解ってて言ってる?」
「うん」
 すると今度は心君がボクに抱きついて
「城君愛してるよー!」
と、頬にキスをした。
 …そう、ボクらはこれが日常茶飯事なんだ。
「折角のチャンスだったのにね。」
 心君が本当に残念そうに耳元に囁いた。
「ボクのロストバージンが?」
「そうそう…って、やっぱり城君か…」
「やっぱり?」
「うん。逆でもいいんじゃね?って思ってた。」
「逆…」
 考えもしなかった…いや、ボクが悠希に抱き締められるのが普通だから当然ボクだと思っていた。
「桧川君が城君の下で喘いでいる姿ってそそられるよね。」
 !!!!!
 何も返答できずに口をパクパクしてしまった。
「わー、城君可愛い。顔真っ赤だよ。」
 だって、だってだって!悠希が喘ぐとか言わないでよ〜。
「でも。まだなんだよね?詰まんない。」
 あ。
 開いた口が塞がらないってこんな感じなのかな?
 心君にはこと恋愛に関しては勝てません。




 勉強もだけど。(泣)