62.がっ!
 ヘンな、感じ。
 夕べ、悠希と初めて、シた。
 余りにもカッコ悪い体勢で余りにもみっともない声を出して余りにも幸せだと、悠希が好きだ
と実感した。
 目を閉じたまま、悠希の匂いを胸いっぱい吸い込む。
「城?」
 名を呼ばれて目を開けた。
「ん?」
「あ、やっぱ起きてた。」
「うん…おはよ。」
「おはよう」
 言うと悠希がボクを抱きしめた。
「無理させてゴメンな。」
「ううん。」
「好きだよ」
「ボクも…大好き」
 そうは言ったものの顔が見られない。
 なんで?どうして?
「城…」
 耳元で名前を囁かれて悠希の顔が、いや、唇がボクの唇に近付いてきても、視線を合わせら
れない。
 慌てて目を閉じた。
 するとそれを合図に悠希が唇を重ねる。
 徐々に熱を帯びてきて、なんだかまた夕べの熱を思い出してきている。
「んっ」
 溜まらず声が漏れた。
 悠希の身体が跳ねた。
「あ、そんな、違う、いいんだ、そんなに何度も、シタイ、とかじゃなくて‥その、」
 普段とは違うしどろもどろな可愛らしい悠希がそこにいた。
 ボクは思わず笑ってしまった。
「大丈夫、悠希が襲ってきたら大声出す。」
「うん、そうして。そうしたら正気に戻るから。」
「悠希、」
「ん?」
「ボク…気持ち良かった?」
「死にそうなくらい。城は?」
「何度も昇天した!」
 悠希の目が大きく見開かれた。
「城…くん、何かヤらしい本読んだ?」
「なんで?」
「ならいい。可愛いよ、城。」
 なんか解らないけど誉められた。
「じゃあ、ボク、がっ!」
 ?
 学校へ行ってくると言いたかったのに、腰が抜けた。
「どうした?」
「腰…痛いっっっっっ」
 一体何があったんだ?
 困った。