65.なんてったって!
「んー、じゃあ赤坂くんと桧川くんお互いに向き合っておでこをくっつけてくれるかな?」
 え?
 え!
 ええ!!
 な、な、な、なんで悠希?
 いつもなら確実に心くんなのに。
 しかし、それよりも悠希だよ、悠希!
「城くんの頬に手を添えた方がいいですか?」
 なんて、聞くなって!
「いいね!」
 カメラマンさーん。
 今日はアイドル雑誌のグラビア撮影。四人で来ています。
「赤坂くん、可愛いね、うん。」
 カメラマンさーん…。



 一方。心くん。
「じゃあ、川崎くんはイスに腰掛けて…神宮寺くんが後ろから抱きしめるみたいな感じで。」
 カメラマンっ、何言ってくれちゃってる?
 人前で抱き合えと?
 変化したら責任とれるの?
 ま、そんなへまはしないけど。
 でも好きな人に触れられたら感じちゃうんだけど。
 あー、最近の僕、エロいよ。
 やだやだ。



「じゃあ…川崎くんが赤坂くんに駆け寄ってきて抱き付く、でよろしく。」
 あのー、カメラマンさん、なにが撮りたいの?
 あの心くんの顔見て気付いてよ、すごーく怒ってるんだから。
 絶対さっきの撮影だよ。
「神宮寺くん、赤坂くんを抱き上げてくれるかな?」
って言ったんだよ。
「あの、それは恥ずかしいです。」
 思い切って言ってみた。
「それじゃあ、顔を近づけて見つめ合ってくれるかな?」
 うーん、この人に日本語は通じないのかな?
 心くん怒ってるし…。
 でもその後心くんも悠希の首に腕なんか回しちゃって抱き合ったじゃないか。


「え?ファンが見たいシチュエーションってコンセプト?」
 そう言ってくれればいいのに。
「雑誌で事前アンケートとったらあんな結果だったらしい。」
「最近の女子は仲良し男子が萌えるらしいよ。」
 そう言えばクラスの女子もそんなことを言っていたような気がするけど…。
「心当たりありそうだね。」
 首を縦に振る。
「ま、俺たちはなんてったってザッツアイドルだからな。」
 …神宮寺くん、古い…。
「城!なんだその憐れんだ目は!」
「ごめんなさーい!決してじじいだななんて思ってませーん。」
「なんだ、それ!」
 きゃー!