| 悠希に抱きしめられて、ボクは幸せだなぁ…と、しみじみ浸っていたとき、最前の悠希の言葉を不意に 思い出した。
 二人で暮らさないか?ここを出てマンション借りようよ?
 ん?
 二人で?
 暮らす?
 「悠希」
 「なに?」
 「社長から又何か言われたの?」
 「ん?」
 悠希がボクの顔をジッと見る。
 「何か?って?何も言われてないよ。」
 「だって一緒に暮らそうって…」
 再び悠希はボクを力一杯抱き締めた。
 「プロポーズ…なんだけど。」
 え?
 「うえっ!?」
 「うえっ!?って、イヤ?」
 首を左右にブンブン振りながら、でも胸に湧いた疑問がどうしてもボクを支配する。
 「社長は平気なの?」
 「ん…これからなんだけどね…」
 悠希の言葉が少しずつ小さくなっていく。
 「悠希、ボク前みたいに4人でもいいんだ、悠希と一緒にいたい。」
 それが今のボクの本音。
 「悠希、ボクさ、急がないでゆっくり行きたいんだ。だって悠希とはこれからもずっと一緒なんだからさ。悠希とは
 一緒にいられれば幸せ。」
 「そっか」
 悠希はボクをギュッと抱きしめてくれた。
 「そうだね、焦っても仕方ないか。じゃあ、とりあえず受験もあるしもう一度一緒の部屋に戻れないか聞いてみる。」
 …ん?
 受験?
 「おおっ、受験!!!!」
 「忘れてたの?」
 「忘れてた!」
 「大丈夫かな?」
 悠希が心配そうにボクを見た。
 「わかったから。そっちはしっかり面倒見るよ。だから…」
 言うのを躊躇っている。
 ボクはじっと待つ。
 「受験が終わったらこっちを見てね。」
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