| 城くんが映画のロケで2泊3日、留守にしています。 夕べ、慧くんは僕のベッドで一緒に寝ました。
 「今夜も、一緒に寝てくれる?」
 僕は、確かにそう言いました。
 
 
 「悠希」
 俺は、同部屋の悠希に思い切って尋ねた。
 「これって、心はシタいってことかな?」
 「神宮寺くん、オレはその手の話は疎いんだけど…」
 …そうだった、このカップルは初心だった。
 仕方がないので直接聞いた。
 すると意外な答え。
 ―僕、明日は早くから仕事なんで起こしてもらおうと思って―
 時々、俺は不安になる。
 本当に心は俺を好きなのか?
 「神宮寺くん」
 「ん?」
 「恋する乙女モードに入ってる」
 え?
 「オレがこんなこと言うのもなんだけどさ、神宮寺くんは心くんに愛されているって自信がないんじゃない?」
 「そう言う悠希はどうなんだよ?」
 「オレ?自信あるよ。だって今だってロケに行ってるけどさ…ほら」
 話をしている間に悠希の携帯にはメールの着信を告げるアラームが鳴った。
 「ロケ先の風景写真が届く。」
 クルリとスマホの画面をひっくり返すと、綺麗な花畑の写真だ。
 「楽しいこと、嬉しいこと、感動したこと…もちろん気持ちいいことも共有したいのが恋人じゃないのかな?」
 そうかもしれない。
 「心当たりがありそうだね?だったら簡単だよ。神宮寺くんが心くんに一杯愛してるって言ってあげればいいん
 だよ。それだけ。」
 「うん。そうする。」
 そうだ、俺は心に甘えてた。ずっと言葉をかけてやってなかった。
 
 
 夜。
 今夜も心のベッドに潜り込む。
 身体をギュッと抱きしめ、
 「愛してるよ」
 と、耳元で何度も囁く。
 「どうしたの?」
 って言う声が嬉しそうだ。
 「心がさ、可愛くて、どうしようもなくなったから、言葉にしてみようって思った。」
 「僕も、大好き。」
 その瞬間…心はすーすーと寝息を立てていた。
 悠希の言うとおり、不安だったのかもしれない。
 けど。
 ちょっとだけ、いや、かなり期待していたんだけどな…。
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