| 「ねー、聞いた?」 「何を?」
 本当は判っていた。心の言いたいこと。
 「他の人とラブシーン演じたから泣いてんだよ?」
 「可愛いよね?」
 「え?慧くんも僕に可愛いを求めてるの?」
 「まさか。心は今のままが好き。」
 ベッドの中で裸の身体をギュッと抱き寄せる。
 「僕がエッチだから?」
 「エッチに仕込んだのは俺だし。」
 初めての時から積極的に心をエッチな身体になるよう仕向けたのは事実。そして思った以上の
 成果で驚いている。
 「今頃城くん、また泣いてるかな?『悠希、ムリ、入んない』とか言って?」
 さっきから心はずっと城くんの話だ。
 「心はそんなに城くんが気になるの?」
 「慧くんは気にならないの?僕は興味津々。城くん奥手だから。たまに僕に相談するんだよ?」
 それは城くんだけじゃない。悠希もそうだから。
 「ちょっと覗いてこようかなぁ」
 「それは止めた方がいい」
 「じゃあ立ち聞きは?」
 「…」
 「ごめんなさい」
 
 
 
 抱き締めた城の身体は、ちょっとだけ体温が高い。
 オレの胸に鼻を押し付けてクンクンしている。
 「どうしたの?」
 「ん…悠希の匂いだなぁって。」
 言われてオレも城の髪に鼻を埋めてクンクンする。
 「ボクの匂い?」
 「ううん、シャンプーの匂い。」
 「そりゃぁ、そうだ。」
 城が笑う。
 城と同じ空間に居ることがオレの幸せ。
 「会社はさぁ、daysとしての活動より個人の活動の方が大事なのかな?一杯レコーディングしてアルバム
 作って一杯コンサートしたいなぁ。」
 「俳優業より歌手業の方が好き?」
 「ううん、days業が好き。daysはボクのためにあるボクのための場所だから。他の場所は代わりがきくけど
 ここはボクの場所だもん…悠希の腕の中もボクの場所。」
 そう言ってオレに顔を向けると目を閉じた。
 「城からしてよ。」
 「えっ」
 黙って目を閉じる。
 「う…恥ずかしいよ?」
 黙って待つ。
 「悠希も…恥ずかしいんだよね…うん」
 小声で自分に言い聞かせている。
 「大好き」
 チュッ
 と、リップオンを立ててあっという間に離れて行ったから、直ぐに捕まえて再度合わせる。
 「んっ…んんっ」
 息継ぎが出来なくて暴れる。
 途中で息が出来るようにちょっとだけ離したけど、また続ける。
 城は観念して身を委ねた。
 
 
 「足して2で割ったら丁度だな」
 「何が?」
 「しっ」
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