83.スケジュールパンパンですけど
台本を覚える
振り付けを覚える
受験勉強
 …何も減っていない。


「城くん、新曲!」
 え?
「だから、新曲が出るんだよ」
 ええっ。
「城くん…顔が怖い」
「ごめんっ。もうスケジュールがパンパンで覚えられないんだよぉ」
「そっか、そうだよね。また映画があるんだもんね。」
 心くんだってドラマの撮影中だけどさ。
「社長はどうしてボクらに学校へ行かせたいんだろう?」
「うーん…これは想像なんだけどさ、今はこの仕事でもいいと思うけど、将来ずっと同じってわけにはいかないと
思うんだよね。その時のために社長は何か作戦があるんじゃないかと思うんだ」
 心くんは「思うんだ」を多用して説明してくれた。
「将来って10年後とかかな?」
「うん」
 そっか。意外と近い将来を見据えているんだな。それくらい、ボクたちの未来は道幅が狭いってことなのだろう。
「じゃあ、本気で頑張ろうかな…」
「やっぱり城くん、手を抜いてたんだ」
「手を抜いていたというか、今の仕事をし続けるなら学歴は不要だから適当でいいとタカを括っていたんだ。」
「僕も同じ考え。だけど手は抜けないけど、性格的に」
 心くんは全てに置いて全力投球だ。でもボクはいっぺんに色々行うなんて器用なことは出来ない。
 そうなると今度手を抜く部分は…。
「悠希、怒るかな」
「怒らないよ、うん」
 だといいな。
 ボクは、悠希との恋を少し休んで、時間を仕事と勉強に費やすことにした。
 神宮寺くんや悠希みたいに何でも出来る人だったら良かったな。
 心くんみたいに沢山のことを同時にできる子だったら良かったな…。
 でも、ボクも皆に遅れを取りたくないから頑張るよ。
 悠希、見ててね。