| 「僕の高校生活は仁志先生で占められているんだ、きっと。」 尋之に視線を合わさないで南中道が告白した。
 「…セフレでいいや、とりあえず」
 尋之も視線を合わさないで言った。精一杯の抵抗だった。
 
 
 「ん…」
 南中道の前で脚を開き自らアナルに指を挿し込んだ。
 「尋之、ここでするの?」
 うるんだ瞳が見返す。
 「カズくんに、見られたくない?」
 無言で首を左右に振る。
 「なら、来て…」
 
 
 南中道と喜多邑は初めて身体を繋いだ。
 
 
 「気持ちイイことはオレとすればいいだろ?カズくんとは精神的な繋がりが欲しいんだろ?」
 慌ただしくしたセックスが南中道の中に変化をもたらした。
 「尋之、教えて!先生は…」
 そこで黙ってしまった
 「なんだよ?」
 既にワイシャツを着た背中に頭を預けて問う。
 「カズくんはバージンみたいだった…オレはバージンだったんだけどな」
 「え?」
 振り返ろうとしたら遮られた。
 「こっちみんなよ、恥ずかしいだろーが…誰かを好きになったのが初めてだから、ただ欲望を処理するのとは違うだろ?」
 南中道はその言葉を夜ベッドのなかで何度も何度もリピートした。
 
 
 
 同じ頃。
 「や…ダメ…」
 仁志は尋胤とホテルの一室で一線を越えていた。
 「やっぱ、ダメ…違う…」
 「何が違うんだよ、オレのこんなんなって和隆ん中で爆発寸前なんだからさ。」
 言いながらも動きは止まらない。仁志は悪意なく弟と比べていた。
 ―尋胤とはセックスしちゃいけなかったんだ―
 南中道が泣きそうな顔で仁志を見るのを思うと胸が痛い。
 なぜ、抱いてくれる相手に集中出来ないのだろう…
 だけど頭の中では南中道が泣いている映像だけが流れていた。
 これが東埜だったら仁志も納得できたはずだった。なのによりによって教え子の顔を思い出すなんて言語道断だ。
 「み…」
 仁志は慌てて口を押さえた。意識を尋胤に集中しなくては…
 「和隆っ…」
 アナルに挿さっている尋胤のペニスが出たり入ったりして仁志の身体を揺さぶる。
 仁志は奥に感じる大きさを、硬さを確かめる。
 「み…っ…ま…」
 何を言おうとしたのか解らなかった。
 「出るゾッ」
 最奥に熱を感じた。
 「ひろっ、熱いっ」
 「あぁっ、あ…」
 尋胤は興奮していて言葉にならない。
 ―喜多邑のお兄さんとも僕とも付き合ってみませんか?―
 南中道が言いたかったことが仁志にはやっとわかった。
 東埜は仁志を自由にしたのではなく束縛したのだ。離れてなお心を自分に向けておくには、突き放すのが一番良いと判断した。遠く離れたことでより深く縛り付けたかったのだ。事故にさえ遭わなければ最高の呪縛だった。
 しかし東埜は帰らぬ人となり皮肉なことにその呪縛は解けなくなった。解く為には東埜を忘れさせてくれる存在を探すこと。
 仁志は尋胤ならいいと思っていた。
 なのに仁志を支配した感情は小さく変化しつつあった。
 
 
 アナルから尋胤が放った精液が溢れた。
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