| 「色々考えたんだ」 南中道は尋之に呼び出されて放課後の部室にいた。
 「南中道は、先生ともオレとも付き合うつもりなんだよな?だけどさ…オレには無理だ。」
 終始うつむいたまま話す尋之の頭頂部だけが南中道の目に映った。
 「顔。見せて」
 しかし顔を上げることはない。
 仕方がないので左手を顎にかけ、強引に前を向かせた。
 「一回だけ、聞く。僕のことをどう思っているの?」
 尋之は目を閉じた。
 「南中道なんか…嫌いだ」
 「わかった」
 南中道は尋之の唇に自分の唇を重ねた。
 「僕は、尋之が好きだよ?先生が僕を相手にするわけはないんだ。」
 尋之は南中道の背中に両腕を回した。
 「言ったら、オレだけの真人になるのか?もう先生を追わないのか?」
 南中道は十分に時間をとって答えた。
 「よく、解らなくなったんだ、先生のこと。恋人との約束の日までは多分誰が相手でも駄目だと思う。それに、僕は今尋之の方が気になるんだ」
 
 
 
 南中道が高校を卒業する年が芳との約束の年。
 それまでは他に目を向けずに教師の仕事をもう少し頑張ろう、仁志は誓った。
 くよくよしているから南中道にまで心配させるんだ。
 「んっ…」
 「東埜さんならわかる、なんでヒデの男に落ちるかな…」
 「あん…っ」
 仁志は尋胤の下で足を広げ男を受け入れていた。
 「オレとは身体だけの関係なんて寂しいなぁ」
 
 あの子が卒業するまでにボロボロになってしまえばいい、そんなことを考えていた。
 
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