| 「仁志先生が失恋したって噂になってるんだけどさ、チャンスかな?」 「何?あんた仁志狙い?確率高そうなの選んだねー」
 女子の話題は殆ど男の話だ。しかしたまには有益な情報もあるんだと、南城は耳をそばだてた。
 「なんでも大学の先輩だったらしいよ。」
 「年上がタイプなのかな」
 「本気なの?あいつ、二年の南中道先輩と噂があるよ?ホモかもよ?」
 「南中道先輩って結構かっこいい目の?やだーそっちの方がショック。」
 「え?私この間南中道先輩と喜多邑先輩が手を繋いで歩いているの見たよ!」
 「いやーん」
 総合すると仁志は大学の先輩に失恋した、南中道と噂があったが南中道は喜多邑と付き合っている…ということか?と、南城は確認した。
 仁志の失恋の相手がまさか南中道とは露知らず…。
 
 「占いは大きくわけて西洋占星術と東洋の算命学になる。行動研究に用いるのは東洋算命学の方で…」
 簡単な説明は南中道がする。
 ここは占いがメインではない。しかし南城はわざと占いにこだわる。
 「先生はなんで占いなんてしているんですか?」
 南中道は急に不機嫌な顔をした。
 「人が話しているときに話の腰を折るヤツは知らないぞ」
 「でも…専門外な気がして…」
 仁志が南中道の役目をすると思っていたのだ。
 「先生は行動研究をしている。普段は高校生の行動をあらゆる角度から検証するんだ」
 言った目が笑っていた。
 「ウソは良くないぞ。僕は別に人間の行動なんて興味ない、両生類と微生物にウエイトを置いている。」
 「そんなことは大学の研究室でやることです、高校の理科室では無理です」
 「分かってるさ」
 仁志が寂しそうに頷いた。
 「早く親離れしたほうがいいですよ」
 更に南中道は追い打ちをかけた。
 仁志に、南中道の本当の気持ちは見えていなかった。
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