第二十八話  占い研究会2
 行動心理研究会での『占い』は相手の行動を分析して診断する。
 動物学的…などという高尚なものではなく完全に適当な女子校生の噂話程度の分析だ。
 例えばAちゃんがBくんに「髪の毛切った?」と聞くのと「髪の毛切ったんだ…」と聞くのでは後者の方が好感度高い…など。
 しかしその程度で一喜一憂するのが高校生である…あって欲しいと願う仁志だった。
「相手を振り向かせる方法はないんですか?」
 南城が問う。
 その前に…。

 南城の家庭は少し複雑だ。
 実父は南城が3歳の時に他界したが母親はその時妊娠していた。
 その子は実父の弟の子だった。
 実父の死後三百日以内に生まれた南城の弟は実父の子として生きている。
 しかし現在、母親は実父の弟と夫婦同然の関係を築いているが籍は入っていない。そしてそこに南城もいない。
 南城には親の愛情はないも等しいものだった。
 仁志はその事情を知っている。
「相手を振り向かせる方法を知っていたら、僕が実践しているよ。だけどさ、誰かを愛し続けるのって大事なことだよ、たとえ報われなくても幸せな気持ちを抱かせてくれた相手に感謝しなきゃな。」
 仁志は自分に言い聞かせる。東埜を恨んではいない、南中道を憎んではいない…だけど尋胤を愛することができないまま、ずっと関係を続けてはいけないと思うようになれた。
「先生が好きなタイプってどんな人ですか?」
 南城はやたらと恋愛の質問にこだわっている。
「誠実な人」
「そして美人…でしょ?」
 尋之が言うとなんでも南中道を指している気がする。
「喜多邑先輩は仁志先生の好きな方、ご存知なんですか?」
 女子高生並みのノリ(実際高校生だが…)に圧倒された。
 若いなと思い…はた…と、仁志は気付いた。最近の南中道は以前のように可愛らしさがない、やたらと理詰めで結論つけようとする。
 何か、あったのか?