| 尋胤は玄関のチャイムが鳴ったのでドアを開けた。 「本当に、お前友達いないだろ?」
 なかば呆れ顔で言った。
 「ごめん」
 「謝られてもなぁ…」
 仁志の弱りきった顔を見ると門前払いは出来なかった。
 「入れば?」
 うん…少し躊躇いながらも足を前に動かした。
 「教えて欲しいんだ」
 力無く笑う姿は痛ましくて抱き寄せたい衝動を抑えるので精一杯だった。
 「弟さんはどんな子かな?僕にはわからなくなってきた」
 尋之が先日の話を早速実行したらしい…尋胤は理解した。
 「オレに似て素直で一途なだけなんだけどな…って色恋に関してだけどな。」
 仁志の表情は感情の揺れを正直に映し出した。
 「僕にはわからないんだ、煽ってみたり、自分だけ関係を深めてみたり、かと言って邪魔しているわけではなくて…どうしたらいいんだろう…」
 更に困惑を増幅させた。
 「なぁ、和隆…オレには今和隆が何を思っているのかは分からない…それと一緒でヒデが何を考え、行動しようとしているのかはわからないんだ。誰だって好きな相手の気持ちを手探りしながら幸せの方向を見つけているんだと思う。
 南中道くんだってきっと悩んでいると思う…オレだってそうだ。」
 初めて仁志は尋胤の顔を見た。
 「安心していいよ、襲ったりしない…ちゃんと理性はある。」
 「わからないんだ…どうしてセックスにばかりつながるのか…快楽が欲しいだけなのか…」
 「ちょっと待て!和隆、それ、本気か?」
 仁志は大きく頷いた。
 尋胤はため息をついた。
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