尋之は南中道を抱き締めた。
「放さない」
「うん」
南中道は尋之に従順だ。
「カズ君とどっちが良かった?」
その質問に南中道は答えられない。
「尋之、好きだよ」
胸に顔を埋める。
南中道は思う。和隆は愛してあげたい、尋之には愛されたい…勝手なのはわかっていた、だけど二人の手を同時に取ることは不可能なのだろうか?
「尋之のセックスが好き…」
ドン
南中道は突然尋之に突き飛ばされて動揺した。
「オレは、真人を抱いてやるからか?真人が欲しいと思ったセックスするから好きなのか?」
「違う、ごめん、言い方が悪かった、セックスも好きなんだ、尋之が好き…尋之に愛されているのが自分だと思うと幸せなんだ。」
「そんな、言い訳…ならカズ君はどうなんだよ!」
尋之、約束が違うじゃないか…南中道は小さく呟いたが激高している尋之には届かない。
「オレはカズ君みたいに大人じゃないからなかなか割り切れないんだ。真人を独占したい。」
「いずれ、そうなるはず…だよ。」
「いずれなんて…どうして?」
南中道は答えない。
ゆっくりと尋之の唇に自分の唇を重ね、腕を回した。
何も言わずに身体を繋ぐ。先ほどまで散々抱き合ったのに南中道にはまだ物足りなかった。
「好き…好きなんだ…それだけじゃだめ?」
尋之は悩む。
しかし快楽に勝てはしない。
「ずるいな、真人。」
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