第五十八話  確定的
 朝。8時に学校に到着。途中寄り道せず。
 午前中の授業は一限が三年二組、三限が二年一組…南中道先輩のクラス。
 二限と四限は職員室で作業をしていた模様。
 昼休み。
 外出。同僚の先生四人で隣のうどん屋へ。
 午後。
 授業はなく、理科準備室で蟻の研究に勤しむ。
 放課後。
 部活はなく、そのまま準備室に残り資料作成。
 5時。帰宅の為学校を出た様子。
「『6時。東埜芳と待ち合わせ、新宿のホテルに。9時まで待ったが出てこなかった。』…駐車場は確認したか?」
 尋胤は南城の報告書に目を通しながら疑問を口にした。
「あひっ…ひ、一人…でわあー、む、無理…んふん…」
 南城は尋胤の下で喘いでいた。
「二人がセックスしたかどうか、調べて欲しい。」
「…いやだ…」
「カエルが踏みつぶされたみたいな格好してケツに突っ込まれてあんあん言っているヤツが何に嫉妬しているんだ?」
 尋胤はここ二週間、つまり南城が告白してからこっち、必ず正常位で抱く。今まではバックからが多かった。
「あんっ」
 腸壁を擦られ喘いでいる自分に嫌悪を感じるが尋胤の顔を見つめ、背中に腕を回すと幸せな気持ちになれる。例え尋胤が欲望のはけ口にしていても今この時間は確かに二人だからだ。
「和隆が東埜さんと…」
「イヤです!」
 何度尋胤が言ってもこれだけは断固拒否された。

「…寝てないよ…あ、再会した夜だけ、だよ。」

 尋胤は直接和隆に電話で聞いていた。何もかも知っていて南城に探りを入れさせていた。
「嫌がらせ…ですか?」
「いや―」
 尋胤はそのあとの言葉を継がなかった。
「僕に話しても仕方のないことなんですね、やっぱり。」
 分からない程度にため息をついた。
「試した。」
 かなり時間を置いて、尋胤が呟いた。
「本当なのか確認したかったんだ、経験がないから…すまない。」
「?意味が分からないです?」
 今度は尋胤がため息をついた。
「気付けよ。」
「…わからないです。」
 南城は小さく、本当に小さく、微笑んだ。