「やめ…」
南中道の腕の中で仁志は心地良い快感を受けた。
身体だけの関係ではなく、心を伴ったセックスは、雲の上で寝ころんでいるかのような快楽だ。
「先生…好き、僕変になりそう…あっ又イクッ」
何度となく仁志の中で果てては又吃立する南中道の身体の一部は、とても愛おしい生き物のようだ。
「なんにもいらない、和隆、あなただけでいいんだ。」
さっきから南中道は先生と呼んだり和隆と呼んだり滅茶苦茶だ。興奮してわけがわからなくなっているようだ。
「真人、もう嘘は言わないで欲しい。」
こくん。
南中道は確かに頷いた。
南中道の話はやはり継がなければならない状況になった三つの会社だ。
全て吸収し一つにするという手もあるが誰も納得しないと言う。
「昔からだれも僕の言うことなんか聞いていないんです。僕の意思はないようなものです。」
寂しく笑う。
「だから、子供が三人いればと思ったのか?」
恥ずかしそうにうん、と答える。
「女の子とのセックスって先生みたいに興奮しないんです。だからいつも先生のこと考えてしてました。彼女たちが妊娠したら先生の功績は偉大なものになります。」
冗談だか本気だか分からないが口角をあげたので冗談なのだろう。
「専務に譲ってしまおうと考えているんです。愛社心のある人がやった方が良い。けどそのためには一斉にやらないとダメなんです。そのために一度は僕が継がなければならない。やりたいことは後回しなんです。」
「…恋愛も?」
「恋愛が一番です。」
「そんなの許さない。」
仁志は裸の胸を南中道の背中に押しつけた。
「僕が助けるから、頼りないけどなんとかするから。」
仁志が言うから、南中道は信じた。
3月。
仁志は学校から姿を消した。 |