| 南中道は悩んでいた。 南城になんと言ったらいいかを。
 
 「あ…んぅ」
 相変わらず尋之との身体の関係は続いている。
 「カズくんとは寝てるの?」
 赤らめた目元で睨みつける。しかしすぐに視線を下に落とすと首を小さく左右に振って尋之の首にすがりついた。
 「もっと滅茶苦茶にかき回して…」
 耳元に囁かれ、尋之はかなりあおられた。
 「あ、イクっ」
 南中道の上体が仰け反り…後ろに倒れた。
 きっと、何も言わなくても、南城ならわかるだろう…南中道は自分で納得し、理性を手放した。
 
 「ネガも?」
 南城が訝しげに見つめる。
 「新しいバイト、探しな」
 パッと笑顔になると「ありがとうございます」と丁寧にお辞儀をして去った。
 南城の目的が仁志だと気付いた時、彼のバイト先が夜の仕事であることを突き止め、写真で脅迫した。
 最初は抵抗したがどうしても高校を卒業したい理由があるらしく、最後は落ちた。
 結果的には夜のバイトより酷いことになったと思うが・・・。
 
 南中道は誰になら仁志を託せるか、考えた。東埜か尋胤なら諦めが着くと言うだけの理由で、東埜を呼び戻した。
 なのに、どうして仁志は南中道を選ぶのだろう…。
 
 
 「真人」
 尋之の掌が南中道の頬に優しく触れる。
 「…そんなに、悩まないでいいからさ」
 尋之の優しさが南中道には辛かった。
 もう、気付いていた。
 南中道は二人を手放したくない、選べないのだ。
 仁志に傾いては尋之に未練を抱く。尋之とセックスをしては仁志に思いを馳せる。
 「兄貴は南城にイカれてる。オレは真人にイカれてる。うちの兄弟はもともと破滅しているんだ。」
 そう言って又南中道を抱く。
 「真人はオレを捨てるんだろ?だから、」
 「捨てない…捨てられない…愛してる」
 「カズくんにもそう言ったじゃないか。」
 貫かれ、揺すぶられ、必死にしがみつく。
 「選べ…ないんだ」
 「オレは、ここにいるから。ずっと。」
 
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