第七十・七十一話  責任
「僕は平気です…尋胤さんが好きだから。」
 南中道は一瞬、理解不能に陥った。
「高校を卒業したら、尋胤さんと二人で暮らします。プロポーズされました。」
「本当に?」
 南城が少女のように頬を染めて頷いた。
「おめでとう。なら尚更ダメだ。これは部長である僕の仕事だから。」
 自分で蒔いた種は自分で刈ると決めた。


「もっと。もっと脚を開かないと入れられないだろう?私は女性しか知らないんだからね、君がやりやすいように動きなさい。」
 仁志の抜けた穴を埋めるのは大変な作業だ。
 校長が行動心理研究会の解散を指示してきた。部員が足りないからだ。
 南中道の不注意が原因だ。
 仁志を手に入れ、尋之の機嫌をとるため部室でセックスしたのがいけなかった。南中道と尋之目当ての何名かの女子が辞めた。
 在籍している女子は嫌悪して顔を出さないだけだ。
 本格的に活動をしないと本当に解散になってしまう。
 まずは仁志の後任としてやってきた教師を顧問に懐柔しないとならない。
 南城の色仕掛けはもう使えないから、南中道が直接動いた。
 しかし…。痴態を晒しただけで結果は不発に終わった。
 その教師は別の部の顧問におさまったのだ。
 代わりの教師を探す時間がない。
 南中道は殆ど諦めかけていた。


 活動計画書提出期限の日。
 校長室に東埜が現れた。
「土曜日だけ、私が見ましょう。…大学の後輩に頼まれました。」
 なぜこんなことになっているのか南中道は理解出来ないでいた。
「しかし外部顧問と言うのは前例がないのでなんとも返答に窮するのですが。」
「野球部には外部から監督がくるじゃないですか?それに私はボランティアで来ます。」
 その時、ふと気付いた。
「他の日は、先生…仁志先生に頼んだらいいです。まだ何も仕事をしていませんから。」
 東埜が無言で首を振る。
「南中道くん、私は仁志先生に頼まれたんだ。自分は何もかも放り出してきてしまったからと言って。活動に関しては南中道くんがいれば問題はないと言っていた。」
 南中道がこの研究会にこだわるのは仁志との思い出があるからだ。


 校長からは誰か教師を顧問にして東埜は指導員として土曜日に来てもらうという決定をとりつけ、とりあえず仮活動許可をもらい、東埜と部室へ向かった。
「あの…ありがとうございます。」
「真人に言いなよ。もう会わないと言った俺に頼みにくるような男だ。呆れたよ…俺の時には放置してたのにさ、死んだって言われたのにさ。君の時は東奔西走だからな。」
 東埜が冗談めかして言う。
「でも、亡くなったと聞いたら僕も動けません。」
 東埜が南中道を見た。
「真人は君のどこに惚れたんだろう?」
 東埜の手が南中道の腕を捉えた。南中道の背中に悪寒が走る。
 部室に着くなり羽交い締めにされ、あっと言う間に組み伏せられる。
 痛がる南中道を東埜は強引に犯した。
 南中道にはこの痛みが、今の東埜の心の痛みなんだろうと、耐えるしかなかった。
「なんで抵抗しない?君は淫乱か?社長の孫だからと言ってオレは手加減しないからな。」
 南中道は目を閉じた。
「先月、辞めたそうですね。」
「な…」
「僕は、祖父の会社を継ぎます、先生の為に。いずれ先生には研究所に来てもらいます。僕も、関われたらと…。」
 東埜のペニスが南中道のアナルを出たり入ったり繰り返す。
「ん…」
 徐々に南中道のペニスが立ち上がる。
「君は、どちらでもイケるのか…無理をするな。あいつは君を守るために立ち上がったんだ、君は守られていればいい。プライドだよ。」
 仁志の、プライド。
「それから、真人が好きなら尋之くんと別れろ。」
「イヤです!」
 下腹部に力が入り、東埜が中で果てた。