南城は悩んでいた。
尋胤は時々南城の名を間違える。当たり前だが和隆と呼ぶ。
「尋胤さんは、僕を身代わりにしているんですか?」
南城は再び名を間違えられたとき、ついに問い詰めた。
「名前を間違えたのは謝る、ごめん。でも身代わりじゃあない。可愛いと思っている。」
可愛い…そんな言葉では納得できなかった。
「僕はあなたに着いていって良いのでしょうか?今ならまだ間に合う、一時の火遊びだと割り切ろうと努力できる。でも年が明けたら自分の進路も考えなければいけないし、いつまでもだらだら付き合い続けてはいけない気がするんです。」
「お前はちゃんと俺が食わしてやる。」
「尋胤さん、まじめに考えてください。」
南城は尋胤の目を見つめると一生懸命祈った、「分かったよ」と言うことを。
「分かったよ、大学も行きたいところへ行け、なんとかする。」
「ちが…」
尋胤が自分から手を引くことを南城は祈ったのに、逆の答えが返ってきた。
そしてはからずも唇を塞がれた。
抵抗できなかった。
また流されてしまった。
初めから尋胤には流されてばかりいる。
愛
かもしれない。違うかもしれない。
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