| 駅から五分で学校に到達する。その間も三人は話し続けていた。 「兄ちゃんは朝も目覚まし使わないで起きるし、塾に行かなくても国立大入ったし、目つきは悪いけど容姿は男らしいし、昔空手をやってたから腕っ節もいいし、高校三年間テニス部にいたし…非の打ち所のない、僕の憧れだよ。」
 フーッと小さくため息を付いた。
 「でも遙ちゃんは可愛いじゃないか」
 「それが!いやなんだってば!」
 航が遙の頭をなでなでする。
 「うー、航までバカにすんのかよ。」
 「違うよ、みんなそれだけ遙ちゃんが好きなんだよってこと」
 「納得いかないー!」
 ジタバタしていたら上級生に笑われた。
 「でも本当に遙ちゃんはみんなに好かれるタイプだよな。」
 潤が感心していうと言葉尻を捉えて「男ばっかだけどなー」とぶつくさ文句を言った。
 「そんなことないよ、僕よく遙ちゃんのこと根ほり葉ほり聞かれるよ。タイミングじゃないかな?」
 「タイミング?」
 「遙ちゃんは一人で行動することないから隙がないんだよ。」
 「そーゆーことか。よし!明日からは一人で登校する!」
 「ガンバレー」
 遙と潤はやけに張り切っている。
 「…邪魔してやる」
 と、盛り上がっている二人の横で独り言を言っている航がいた。
 
 |