第四話  登校  
 駅から五分で学校に到達する。その間も三人は話し続けていた。
「兄ちゃんは朝も目覚まし使わないで起きるし、塾に行かなくても国立大入ったし、目つきは悪いけど容姿は男らしいし、昔空手をやってたから腕っ節もいいし、高校三年間テニス部にいたし…非の打ち所のない、僕の憧れだよ。」
 フーッと小さくため息を付いた。
「でも遙ちゃんは可愛いじゃないか」
「それが!いやなんだってば!」
 航が遙の頭をなでなでする。
「うー、航までバカにすんのかよ。」
「違うよ、みんなそれだけ遙ちゃんが好きなんだよってこと」
「納得いかないー!」
 ジタバタしていたら上級生に笑われた。
「でも本当に遙ちゃんはみんなに好かれるタイプだよな。」
 潤が感心していうと言葉尻を捉えて「男ばっかだけどなー」とぶつくさ文句を言った。
「そんなことないよ、僕よく遙ちゃんのこと根ほり葉ほり聞かれるよ。タイミングじゃないかな?」
「タイミング?」
「遙ちゃんは一人で行動することないから隙がないんだよ。」
「そーゆーことか。よし!明日からは一人で登校する!」
「ガンバレー」
 遙と潤はやけに張り切っている。
「…邪魔してやる」
と、盛り上がっている二人の横で独り言を言っている航がいた。