第九話  家庭教師  
「遙が好きだー!」
 響、大声で叫ぶ。
「オレはでーきれー(大嫌い)だよっ!昔っからな!だから早くけーれ(帰れ)!」
 遙は驚いて手を離した響を足蹴にして家から放り出した。
「兄ちゃん、なんで朝飯食ってから歯を磨くんだ?」
 …遙は天然である。
「いつ、キスをするチャンスがあるかわからないだろう?歯の間に食べかすなんか有った日には失望されてしまうじゃないか。」
「はー、なるほど…って兄ちゃん好きな娘いるのか?」
「いないと思っていたのか?」
「うーん、兄ちゃんと恋愛ほど似合わないものはないかなーと。」
 三人は遙の部屋に移動し、早速数学の基礎を始めた…まだ基礎である。


「兄ちゃん、響っていつもあんな感じなのか?」
 潤が帰った後、居残り状態の遙である。(課題が出来なかっただけだが)
「ああ。どうにかしてくれ。」
「んー」
 遙は響が苦手だ。
「間違ってるぞ」
「うへー」
「…遙。」
 湊の表情は何があっても変わらない。
「なに?」
「次のテスト、僕が教えている教科が85点以上だったらご褒美をあげよう。ただし以下だったらお仕置きだ。」
 …お仕置き?…

次回テスト結果につづく