第十三話  外面  
 一方。潤のときはどうしているのか。真実はこんな感じ。
「湊さん、遥ちゃん変なんですよ。普段は変わらないんですけど突然黙り込んでため息ついてて、それが一日に何回も。大抵、航の顔見てため息ついてるんです。」
 湊はニヤリ、笑う。
「うん。それは恋煩いだね。」
「恋煩い…そうか。」
 湊は航が自分に雰囲気の似ていることを知っている。
「じゃああの娘かな?通学電車で会うエリ女の娘。」
 湊がフリーズした。
「女…の子?」
 遥は絶対に自分に対して好意を示すと確信していたからかなりのショックだった。
 小さな頃から大事に扱ってきたのに、こんなところで見ず知らずの女にかっさらわれるくらいなら潤でも航でもどっちでも構わないからなんとかしろ!と言いたいところをぐっとこらえた。
「その娘、どんな感じの娘なのかな?」
「かなり無理して女の子っぽくしている子なんですよー。見てて笑っちゃうんだけど遥ちゃんは可愛いって連呼してて。絶対にダメだって航に言われてからすねているんです。」
 航、グッジョブ!
 湊は心の中で叫んだ。
「潤くんは好きな人、いないの?」
「僕は…いないです。」
 妙な間が気になったが遙がターゲットじゃないなら湊は眼中にない!
「航は絶対に遙ちゃん狙いだろうなー。昔からそうだから。遙ちゃん激ラブなんですよ。だからエリ女の娘に取られたら発狂すると思いますよ。」
 航、うざい!
 …湊が一番うざいです。