第十四話  再び、朝  
 げしっ
「痛い!」
 遙はパンツを下ろされて直にお尻を痛打されていた。勿論、湊だ。
「何回言ったら覚えるのかな?朝は僕より先に起きて夕べ出した宿題をやるんだろう?それとも今すぐ犯して欲しいのか?」
 でも!と、反論したい所をぐっとこらえた。
 理由は一週間前に遡る。


「遙、成績が上がらないな。…お仕置き、気持ちよくなっているだろう?」
 ふるふると首を振った。
「…少し、痛い思いをしてもらうかな…。来月の中間テストで僕の教えた教科が90点以下だったら、遙を…女にしてやる。」
 おんな?遙には意味が分からなかった。
「バックバージン、だよ。」
「バック…イヤだ!兄ちゃん、なんか変だよ、兄弟で何考えてんだよ!」
「だから、90点取ればいいんだよ?」
「でも!」
「イヤなら今でも良いけど?」
 湊は遙をベッドに押し倒した。
「やだっ、止めて。」
 遙は必死で抵抗した。
「夜と朝、徹底的に教えるからな」
 そう言って夜も朝も勉強とフェラチオ三昧でくたくただった。
 段々、遙は自分が分からなくなってきた。
 湊に弄ばれて、嬉しいのか、悔しいのか。


「航」
 珍しく潤のいない下校時、意を決して遙はこともあろうか、航に相談をした。
「男同士でセックス、したいか?」
 航は歩みを止めた。
「なんで、だ?」
 声が震えている。
「好きでもないのに、出来るのかな?」
「好きじゃなきゃ、出来ないよ!」
 突然、遙は視界を遮られた。
 唇に柔らかな感触の若干湿ったものが押しつけられた。
「好きだ」
ドクン
 心臓が大きく、鳴った。
 耳の奥に「好き」の二文字がリフレインしている。
「誰が遙を陵辱しようとしているんだ?」
「兄ちゃん」
 その言葉に、航は弾けた。
「痛いっ」
 航は遙を強引に自宅へ引っ張って行った。
「なんだよっ、航も同じかよ!誰も僕のことなんか助けてくれないんだな…」
 遙は完全にあきらめの境地へ入った。


貞操の嬉々へ続く