| 「今、何て言った?」 潤は耳を疑った。
 「え?だから、航と付き合うことにした。いわゆる恋人ってやつだな。」
 朝、駅までの道のり、遥が嬉々として語る。
 「湊さんは知ってるの?」
 「知ってるもなにも夕べ腹癒せに犯された。」
 …遥ちゃん、君は口が軽すぎるよ。
 潤は心の中で大きくため息をついた。
 「学校では航のことは黙っていたほうがいいよ。」
 「そーだな、男女交際は禁止だからな、うちの学校。ましてやセックスまでしちゃった仲なんてバレたら大変だ。」
 その割には遥は嬉しそうだ。
 「あのさ…遥ちゃんは気付いてないだろうけど遥ちゃんを狙っていた男って結構いたんだよ。だからあまり公言すると航は袋叩きにあうかもしれない。」
 「ほんとーに?それは困るなー。仕方ないしばらくは黙っているよ。」
 潤は心の中で安堵のため息を付いた。
 気になるのは湊と響のことだ。
 溺愛していた湊どうするんだろう…。
 「ちょっと待って!さっき遥ちゃん、湊さんに犯されたって言ったよね?」
 「うん。もうずっと前からテストの点が悪いからって手こきされたりフェラされたり、最悪…潤はいいよなぁ、腕立て伏せだもんなぁ。」
 潤の歩みが止まった。
 「湊さんも、なの?」
 「何が?」
 「湊さんも、遥ちゃんが好きだったんだ…」
 「そーみたい。変態だよね、兄ちゃん。」
 何故か、潤からの返事はなかった。
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