第二十話  蚊帳の外な面々  
「ちゃんと大人しく寝てるんだぞ」
 遥はそう言い残して潤の部屋をあとにした。
「ありがと」
 潤は頭から布団を被って横になっている。ー体調なんか悪くない。
 遥の恋人宣言はなんとなく予期していたから気にならなかった。
 しかし遥の兄、湊が遥に執心していたのは兄弟愛ではなく、同性愛だったとは…まあ、潤も同じ穴の狢なのだが。
 しかし。
 湊が遥を犯したということは遥の同意の下ではない。なら潤にもチャンスはあるかもーと考えたとき、
「僕はおかまじゃない!」と、潤が呟いた。
 ―言葉が違うだけなのだが。
「湊さんを僕のものにしてやる」
 つまり、そういうことらしい。まだまだ若い男の子が考えることですからね。


 一方、響の方は。
「航のヤツ…」
 八つ当たりです。


 なにをしているのでしょう、すっかり無口です。
「遥!」
 どうやら家の前で待ち伏せしていたようです。
「ちょっと来い」
 言うと遥の腕を力一杯掴んで強引に引っ張って行きました。
「何すんだよ!離せよ!」
「いつからだよ?」
「なにが?」
「僕のこと嫌いだって…」
「好きだって思ったことがない」
「なんで…?」
「だってお前、意地悪しかしないじゃないか。頭が悪いとか背が低いとか言うしさ。」
「湊だって言うじゃないか!」
「兄ちゃんと響は違うだろ?」
 響、大変ショックです。
「…優しく、するから。」
 その一言で遥、ちょっと心が揺れました。
「なら…」

交換条件に続く